何時間寝ればいい?7時間が最適解と「足りている」感覚が当てにならない理由を保健学博士が解説

睡眠

私は7時間眠りたいと思っています。でも実際は、6時間になってしまう日のほうが多い。

若い頃は、自分はショートスリーパーなのだと思っていました。実際、30代の前半までは無理が効きました。睡眠を削っても仕事は回ったし、それほど困った記憶もありません。

考えが変わったのは、体調を崩してからです。今は意識して眠るようにしていて、7時間くらい眠れた日は、はっきり調子がいい。

この記事で伝えたいのは、その途中で知って驚いたことです。「自分は短くても平気」という感覚は、科学的に当てにならない。しかも、それを実験で示した研究がありました。

査読論文と厚生労働省の睡眠ガイド2023をもとに、順を追って整理します。


結論:7時間前後がもっともリスクが低い

まず数字から。睡眠時間と死亡リスクの関係は、複数の大規模研究で一貫しています。

Shen らは35本の前向きコホート研究を統合し、1,526,609人・死亡146,830件という規模で解析しました(文献1)。7時間/日を基準にすると、全死因死亡の相対リスクはU字型を描きます。短くても長くても上がる。著者らは「早すぎる死を防ぐには1日7時間の睡眠が推奨される」と結論しています。

夜間の睡眠時間全死因死亡リスク RR(95%CI)
4時間1.07(1.03–1.13)
5時間1.04(1.01–1.07)
6時間1.01(1.00–1.02)
7時間基準(1.00)
8時間1.07(1.06–1.09)
9時間1.21(1.18–1.24)
10時間1.37(1.32–1.42)
11時間1.55(1.47–1.63)

この表を見て、気づくことがあると思います。短いほうの上乗せは、意外と小さい。6時間で1.01、5時間でも1.04です。一方で長いほうは、9時間で1.21、11時間で1.55と急に立ち上がります。

長時間側については、逆因果の可能性が繰り返し指摘されています。病気を抱えている人ほど長く眠る、という順序です。「長く寝るから死ぬ」ではなく「体が弱っているから長く寝ている」場合が混ざっている、ということになります。

一点だけ、断っておきます。こうした大規模研究の睡眠時間は、その多くが自己申告です。睡眠ガイド2023自身が「自覚する睡眠時間は床の上で過ごす時間を反映しやすく、やや不正確である可能性がある」と注意を促しています(文献3)。数字は目安として受け取ってください。

Yin らのメタ解析(Journal of the American Heart Association)も同じ形を示し、さらに定量化しています(文献2)。最低リスクは約7時間/日。そこから7時間未満では1時間減るごとにRR 1.06(95%CI 1.04–1.07)、7時間超では1時間増えるごとにRR 1.13(1.11–1.15)でした。

ただし「7時間」は全員に当てはまる数字ではありません

誤解されやすいところなので、はっきり書きます。

厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」は、成人の目安を「適正な睡眠時間には個人差があるが、6時間以上を目安として必要な睡眠時間を確保する」としています(文献3)。おおよそ6〜8時間が適正で、6時間未満で充足する人も、8時間以上必要な人もいる、と明記しています。

そして、必要な睡眠時間は年齢で変わります。脳波で厳密に測った研究をもとに、ガイドはこう示しています。

  • 15歳前後:約8時間
  • 25歳:約7時間
  • 45歳:約6.5時間
  • 65歳:約6時間

成人後は20年ごとに30分程度のペースで、夜に眠れる時間そのものが減っていきます。

著者の視点

「7時間寝なければ」と数字に縛られる方をよく見かけます。でも年齢別の目安を見れば分かるとおり、7時間は真ん中あたりの値であって、全員の正解ではありません。私自身、7時間で調子がいいのは確かですが、それは私の体に合っているという話です。大事なのは数字を守ることではなく、自分の適量を知ることだと思っています。

実践ポイント

  • まず目安は7時間前後。ただし6〜8時間の幅があると考える
  • 年齢で必要量は変わります。20代の自分と45歳の自分を同じ基準で比べない
  • 判断材料は「日中に強い眠気が出ないか」「起きたときに休めた感じがあるか」

「自分は短くても平気」が当てにならない理由

この記事でいちばん書きたかったのが、ここから先です。

私が若い頃「ショートスリーパーだ」と思っていたのは、根拠のない思い込みでした。しかも、その思い込みが生まれるしくみが実験で示されています。

Van Dongen らの研究(文献4)は、睡眠研究でもっとも引用される実験のひとつです。健康な成人48名(21〜38歳)を、床上時間4時間・6時間・8時間の3群に分け、14日間続けました

結果はこうです。

  • 4時間群と6時間群では、注意力や作業記憶の低下が日を追って積み重なり、最終的に「2晩まるまる徹夜した状態」に相当する水準まで落ち込んだ。6時間でも、である
  • ところが本人が感じる眠気は、その低下に見合って強くならなかった

論文はこの点を明確に述べています。慢性的な睡眠制限では強い眠気を自覚しにくく、そのため人は「自分は順応した」という主観的な印象を持ってしまう。睡眠を削る習慣が広く続いてしまう理由は、ここにあるのではないか、と。

つまり、こうです。体のほうは着実に削られているのに、感覚だけが先に鈍くなる。

「平気だった」のではなく、「平気だと感じるようになっていた」だけでした。

ただし添えておくと、これは48名・21〜38歳という小規模で若い集団での実験です。中高年でそのまま同じ落ち込み方をするかは、この研究からは言えません。

著者の視点

この論文を読んだとき、若い頃の自分のことを言われているようで、正直まいりました。仕事は回っていたつもりでしたが、回っていたのは基準が下がった状態での自己評価だったのかもしれません。体力があるうちは眠らなくてもやれる——長いあいだ、私はそう思っていました。でも、やれているかどうかを自分で判定できないのだとしたら、その考え方そのものが危ういわけです。

死亡リスクの表とは、話が食い違わないのか

鋭い方は、先ほどの表と矛盾すると感じたかもしれません。6時間の死亡リスクはRR 1.01、つまりほぼ基準と変わりませんでした。それなのに、6時間で認知機能が2晩の徹夜に相当するほど落ちるのか、と。

答えは、測っているものが違うからです。

Shenらの表が見ているのは、数十年単位で積み上がる死亡という結果です。Van Dongenらが見ているのは、いま目の前の注意力と作業記憶です。「何十年か先に死ぬかどうか」と「今日ちゃんと働けるか」は、別の問いなのです。

6時間睡眠は、寿命という物差しでは大きな差を生まないかもしれません。それでも、日中のパフォーマンスという物差しでは、はっきり代償を払っています。私が知りたかったのは、後者のほうでした。

実践ポイント

  • 「自分は短くても平気」という自己評価を、根拠として使わない
  • 判定に使うなら、感覚ではなく行動を見る。休日に大幅に寝坊するか。昼に強い眠気が来るか。運転中にひやりとしたことがあるか
  • 睡眠を削っている期間は、重要な判断や長距離運転を避ける
  • 自覚しにくい影響は、頭の働きだけではありません。血糖値への影響は〔睡眠不足と血糖値|HbA1cにも影響?〕にまとめています

本物のショートスリーパーは、ほとんどいません

「短い睡眠で本当に平気な人」は実在します。ただし、きわめて稀です。

短時間睡眠と関連する遺伝子変異が、いくつか見つかっています。最初に報告されたのがDEC2です。ある家系でこの変異を持っていた人の睡眠は平均6.25時間、変異を持たない家族は8.06時間でした(文献5)。ただしこれは、ごく少人数の家系で見つかった所見です。その後、ADRB1という遺伝子の稀な変異も、同じような性質と関連することが報告されました(文献6)。

問題は、その頻度です。ADRB1の変異は、大規模なゲノムデータベースで10万人あたり4人程度と報告されています。家族性の自然短時間睡眠(FNSS)と呼ばれるこの体質は、非常に稀なものです。

言い換えると、「自分はショートスリーパーだ」と考えている人の圧倒的多数は、この変異を持っていません。慢性的な睡眠不足に感覚が慣れているだけ——そう考えるほうが、現実に近いはずです。

著者の視点

「ショートスリーパー」という言葉は、睡眠を削ることを正当化する便利な言い訳として使われがちです。私もそうでした。ただ確率で考えれば、自分が2万5千人に1人のほうに当たると仮定するより、単に足りていないと考えるほうが自然でしょう。

実践ポイント

  • 著者の視点として、自称ショートスリーパーの方に試していただきたいことがあります。1〜2週間、意識して1時間長く眠る(これは論文が検証した手順ではなく、私の提案です)
  • それで日中の調子が変わるなら、答えは出ています
  • 変わらないなら、そのときは本当に短時間で足りる人なのかもしれません

年齢とともに、無理が効かなくなる

私が「無理が効かなくなった」と感じたのは30代の前半でした。これも、気のせいではないと思っています。

先ほど示したとおり、夜間に実際に眠れる時間は加齢とともに減ります(文献3)。ここまでは、ガイドが示している事実です。

では、削った分を取り返す力はどうか。ここで白状します。「加齢で睡眠不足からの回復力が落ちる」ことを直接示した決定的な研究を、私は見つけられませんでした。落ちていく実感はありますが、それは私の体感と、加齢で睡眠の構造が変わるという一般的な知見からの推測にすぎません。

ただ、はっきり言えることがひとつあります。若い頃に無理が効いたことは、今も効く理由にはなりません。

著者の視点

30代前半までの私は、睡眠を削れる自分をどこかで誇っていた気がします。仕事が回るのは自分の力だと思っていた。でも今から振り返ると、あれは若さという貯金を取り崩していただけでした。貯金が尽きたことに気づいたのが、体調を崩したときです。若い方に「今のうちから寝ておいて」と言っても届かないことは分かっています。それでも、取り崩している自覚だけは持っていてほしいと思います。

実践ポイント

  • 「昔はこれで平気だった」を基準にしない。基準は今の体調です
  • 体調を崩したあとは、睡眠を「戻すもの」ではなく「守るもの」として扱う

「7時間眠れない」のは、意志の問題ではない

ここまで7時間を目安として書いてきました。でも、こう思った方が多いはずです。そもそも眠る時間がない、と。

私自身がそうです。7時間眠りたいと思いながら、6時間になる日のほうが多い。

睡眠ガイド2023は、この点を個人の心がけの問題として扱っていません。労働時間との関係として、数字で示しています(文献3)。

1日の労働時間が7時間以上9時間未満の人を基準にすると、睡眠時間が6時間未満になるリスクは——

1日の労働時間睡眠6時間未満になるリスク(男性)同(女性)
9時間以上2.76倍2.71倍
11時間以上8.62倍5.59倍

11時間働く男性で8.62倍です。これは「早く寝る努力が足りない」で説明できる数字ではありません。時間外労働が1日5時間を超えると、睡眠時間は著明に短くなるとも報告されています。

もう一つ、見過ごせない記載があります。国民健康・栄養調査では、睡眠確保の妨げとして、男性は「仕事」、女性は「育児・家事」が上位に挙がっています。ガイドはこれを受けて、育児・家事を家庭内で適切に分担するよう促しています。

つまり睡眠時間は、個人の生活習慣であると同時に、働き方と家庭内の分担の問題でもあるということです。

著者の視点

私は2児の母で、大学教員です。この2つの数字を見たとき、思い当たることが多すぎました。「寝る時間がない」と言うと、時間管理が下手なのだと受け取られがちです。でもデータが示しているのは、労働時間が一定を超えた時点で、睡眠は個人の裁量から外れるということでした。ここを個人の努力の問題にしてしまうと、いちばん眠れていない人ほど自分を責めることになります。それは違うと、はっきり言っておきたい。

実践ポイント

  • 「眠る時間がない」と感じたら、まず労働時間を数える。9時間を超えているなら、そこが原因の可能性が高い
  • 育児・家事の分担を、睡眠時間の話として一度テーブルに乗せる(体調管理の話として切り出すと通りやすいことがあります)
  • 削れるものが本当にないか、1週間だけ記録してみる。通勤時間・スマホ・持ち帰り仕事が見えてくることがあります(寝る前のスマホについては〔寝る前のスマホはなぜ睡眠に悪い?〕で扱っています)
  • 労働時間の是正が難しい場合は、産業医や衛生管理者に相談する選択肢もあります

時間だけでなく、規則性

近年の睡眠研究で注目されているのが、何時間寝るかではなく、毎日同じ時刻に寝起きするかです。

Windred らは、UK Biobankの参加者60,977人(登録時40〜69歳)の活動量計データ(1,000万時間超)を解析しました(文献7)。睡眠の規則性が高い群では、全死因死亡リスクが20〜48%低いという結果でした。そして規則性は、睡眠時間そのものよりも死亡リスクをよく予測していました

一つ、取り違えてほしくない点があります。「規則性が大事=睡眠時間は短くてよい」ではありません。この研究が示したのは、両者を比べたときに規則性のほうが予測力が強かった、という一点だけです。必要な睡眠時間を削ってよい理由にはなりません。

時間と規則性は、別々に大切です。

著者の視点

「7時間確保する」は難しくても、「起きる時刻を揃える」は今夜からできます。順番をつけるなら、私は起床時刻の固定を先にすすめます。就寝時刻より起床時刻のほうが、体内時計は整いやすいからです。

実践ポイント

  • 平日と休日の起床時刻の差を1時間以内に収める
  • 就寝時刻を揃えるより、起床時刻を揃えるほうが実行しやすく、効果も出やすい
  • 休日に寝だめが必要な状態が続くなら、それは平日が足りていないサインです
  • 休日の起床が大きくずれると体内時計が動きます。その仕組みと戻し方は〔連休明けに眠れないのはなぜ?社会的時差ボケの仕組みとリセット法〕へ

夜勤という、別の問題

最後に、量や規則性の工夫ではどうにもならない話をします。

夜勤が連続した時期のことです。自律神経がおかしくなりました。真夏なのに寒気がしたこともあります。不調だらけでした。当時の感覚をそのまま書けば、命を削っている感覚がありました。

これは、比喩ではありませんでした。

睡眠ガイド2023には「就業形態(交替制勤務)と睡眠の課題について」という独立した章があります(文献3)。そこでは、交替制勤務者が日勤者と比べて肥満・がん・認知症などの発症リスクが高まる可能性に触れられています。

さらに、国際がん研究機関(IARC)は2019年の再評価で、夜勤(night shift work)を発がん性分類の「グループ2A=ヒトに対しておそらく発がん性がある」と位置づけました(文献8)。乳がん・前立腺がん・大腸がんについてヒトでの限定的な証拠、動物実験での十分な証拠、そして強い機序的証拠に基づく判断です。

補足を一つ。「2A」は危険度の大きさを表す等級ではなく、証拠の確からしさの区分です。夜勤をすれば必ずがんになるという意味ではありません。それでも、公的機関がこの位置づけを維持しているという事実は、知っておく価値があります。

では、どうするか

夜勤は個人の意思でやめられるものではありません。医療も物流も、夜に働く人がいなければ止まります。ですから、脅して終わりにするつもりはありません。ガイドが挙げる工夫を書きます(文献3)。

勤務間インターバルを確保する。 退勤から次の出勤までの休息時間です。日本の労働者を対象にした調査では、インターバルが12時間未満の人で、睡眠休養感の欠如・疲労感の増加・強いストレスが報告されています。

睡眠をとる時刻帯を、日によって大きくずらさない。 インターバルを確保するだけでなく、規則性も同時に意識する。ガイドはこの2つをセットで求めています。

仮眠を使う。 夜勤中の短い仮眠は、疲労対策として現実的な手段です。

光を管理する。 夜勤明けの帰路で強い光を浴びると体内時計がさらにずれます。サングラスや帽子で光を減らし、帰宅後は寝室を暗くする。

著者の視点

夜勤をしている方に「やめたほうがいい」と言うのは簡単ですが、無責任だと思っています。私も現場にいましたし、誰かがやらなければ成り立たない仕事です。だから伝えたいのは、「気合いで乗り切るもの」ではないと知っておいてほしいということです。体調を崩したとき、自分の頑張りが足りないせいだと思ってしまう人が多い。そうではありません。仕組みの側に無理があるのだと知っているだけで、休むことへの後ろめたさは減ります。

実践ポイント

  • 夜勤明けは、帰路の光を減らす(サングラス・帽子)。帰宅後は寝室を暗くする
  • 夜勤中の仮眠を、可能な範囲で確保する。長さの目安は〔昼寝は何分がベスト?〕を参考にしてください
  • 勤務間インターバルが短い勤務が続くときは、記録を残す。交渉の材料になります
  • 体調の変化(動悸・寒気・気分の落ち込み・体重の変化)が続くなら、我慢せず受診を。夜勤のせいと決めつけて放置しないでください

今夜からできること

場面やること
目安7時間前後(6〜8時間の幅で自分の適量を探す)
判断材料日中の眠気の有無、起きたときの休養感
規則性平日と休日の起床時刻の差を1時間以内に
自己評価「短くても平気」を根拠にしない。行動で判定する
夜勤光の管理・仮眠・勤務間インターバル。不調が続けば受診

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まとめ

何時間寝ればいいのか。大規模なデータが示す答えは、7時間前後です。短くても長くてもリスクは上がり、その関係はU字を描きます。ただし個人差があり、年齢でも変わります。厚労省のガイドは「個人差はあるが6時間以上を目安に」としています。

そのうえで、この記事でいちばん伝えたかったのは別のことです。

「自分は短くても平気」という感覚は、当てになりません。6時間以下を14日続けると、認知機能は2晩の徹夜に相当する水準まで落ちます。にもかかわらず、眠気の自覚はそれに見合って強くならない。人が「順応した」と感じてしまうのは、そのためです。

本物のショートスリーパーは、10万人あたり数人という世界の話です。自分がそこに当たると考えるより、単に足りていないと考えるほうが現実的でしょう。

そして夜勤は、量や規則性の工夫だけでは片付かない別の問題です。IARCは夜勤を「おそらく発がん性がある」と位置づけています。それでも夜勤をなくすことはできません。だからこそ、光の管理・仮眠・勤務間インターバルという具体的な手立てを持っておくことが要ります。

私は今も、7時間眠れない日のほうが多いままです。それでも、「平気だ」と自分に言わなくなったことが、いちばんの変化でした。


医療に関する注意

本記事は健康情報の提供を目的としており、診断・治療・医療行為を推奨するものではありません。紹介した研究には観察研究が含まれ、関連を示すものであって因果関係を確定するものではありません。日中の強い眠気、いびきや呼吸の停止を指摘されたことがある場合、十分な睡眠時間をとっても休養感が得られない場合は、睡眠時無呼吸などの睡眠障害が隠れていることがあります。気分の落ち込みが続く場合も含め、自己判断で対処を続けず、医師にご相談ください。交替制勤務による体調不良についても、産業医やかかりつけ医への相談をおすすめします。


【使用文献】

文献1|Shen X, Wu Y, Zhang D. Nighttime sleep duration, 24-hour sleep duration and risk of all-cause mortality among adults: a meta-analysis of prospective cohort studies. Scientific Reports. 2016;6:21480. DOI: 10.1038/srep21480. PMID: 26900147 (35本の前向きコホート研究を統合。夜間睡眠の解析は1,526,609人・死亡146,830件。7時間/日を基準にした夜間睡眠のRRは4時間1.07・5時間1.04・6時間1.01・8時間1.07・9時間1.21・10時間1.37・11時間1.55とU字型。著者らは1日7時間を推奨。24時間睡眠での解析では長時間側の上昇がさらに大きい)

文献2|Yin J, Jin X, Shan Z, et al. Relationship of sleep duration with all-cause mortality and cardiovascular events: a systematic review and dose-response meta-analysis of prospective cohort studies. Journal of the American Heart Association. 2017;6(9):e005947. DOI: 10.1161/JAHA.117.005947. PMID: 28889101 (最低リスクは約7時間/日。7時間未満では1時間減るごとにRR 1.06[1.04-1.07]、7時間超では1時間増えるごとにRR 1.13[1.11-1.15])

文献3|厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」(令和6年2月策定、令和6年9月18日一部修正) https://www.mhlw.go.jp/content/001305530.pdf (成人版の「個人差はあるが6時間以上を目安」、年齢別の夜間睡眠時間[15歳約8時間・25歳約7時間・45歳約6.5時間・65歳約6時間]、休日の寝だめと社会的時差ボケ、就業形態[交替制勤務]と睡眠の課題の各記述を参照)

文献4|Van Dongen HPA, Maislin G, Mullington JM, Dinges DF. The cumulative cost of additional wakefulness: dose-response effects on neurobehavioral functions and sleep physiology from chronic sleep restriction and total sleep deprivation. Sleep. 2003;26(2):117-126. DOI: 10.1093/sleep/26.2.117. PMID: 12683469 (健康成人48名・21〜38歳を床上時間4・6・8時間の3群に分け14日間継続。6時間以下では注意力・作業記憶の低下が累積し、2晩の完全断眠に相当する水準に達した一方、主観的な眠気はそれに見合って増加しなかった)

文献5|He Y, Jones CR, Fujiki N, et al. The transcriptional repressor DEC2 regulates sleep length in mammals. Science. 2009;325(5942):866-870. DOI: 10.1126/science.1174443. PMID: 19679812. PMC: PMC2884988 (ある家系でDEC2変異を持つ人の睡眠は平均6.25時間、非保有者の家族は8.06時間。短時間睡眠と関連する遺伝子変異を初めて同定した研究だが、対象はごく少人数)

文献6|Shi G, Xing L, Wu D, et al. A rare mutation of β1-adrenergic receptor affects sleep/wake behaviors. Neuron. 2019;103(6):1044-1055.e7. DOI: 10.1016/j.neuron.2019.07.026. PMID: 31473062 (ADRB1の稀な変異と自然短時間睡眠の関連。この変異の頻度は大規模ゲノムデータベースで10万人あたり約4人と報告されている)

文献7|Windred DP, Burns AC, Lane JM, et al. Sleep regularity is a stronger predictor of mortality risk than sleep duration: a prospective cohort study. Sleep. 2024;47(1):zsad253. DOI: 10.1093/sleep/zsad253 (UK Biobank 60,977人の活動量計データ。睡眠規則性が高い群で全死因死亡リスクが20〜48%低く、規則性は睡眠時間よりも強い予測因子であった)

文献8|International Agency for Research on Cancer(IARC). IARC Monographs on the Identification of Carcinogenic Hazards to Humans, Volume 124: Night Shift Work. Lyon: IARC; 2020. https://publications.iarc.who.int/Book-And-Report-Series/Iarc-Monographs-On-The-Identification-Of-Carcinogenic-Hazards-To-Humans/Night-Shift-Work-2020 (2019年6月の作業部会による再評価。夜勤を「ヒトに対しておそらく発がん性がある(グループ2A)」と分類。乳がん・前立腺がん・大腸がんについてヒトでの限定的証拠、動物実験での十分な証拠、強い機序的証拠に基づく。なお分類は危険度の大きさではなく証拠の確からしさを示すもの)


瀬戸 茉莉花

看護師として大学病院・公立病院で臨床を経験後、現在も大学教員として17年間、看護学生の教育と生活習慣病予防の研究に携わっています。看護師・保健師。保健学博士。2児の母として、子育てをしながら情報発信中。
人の幸せの根底には、健康があると思っています。健康だからこそ、大切な人と楽しい時間を少しでも多く過ごせる。そのために健康オタク仲間を増やして、みんなで人生の最後まで元気でいたい。そんな思いでこのブログを書いています

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