キウイは、目についたら買います。頻繁に食べるわけではありません。しかし、「キウイを食べると眠れる」という話をよく見かけるので、本当かどうかを確かめたくなりました。
調べてみると、研究はきちんとありました。そして、面白いことが分かりました。
睡眠にいいとされる果物は、キウイとタルトチェリーの2つです。この2つは、まったく逆の形で「効いて」いました。
結論を先に
| キウイ | タルトチェリー | |
|---|---|---|
| 根拠の種類 | RCT 1本(74名・4週間) | メタ解析(8試験) |
| 何と比べたか | 洋なし(別の果物) | プラセボ |
| 自分で感じる変化 | 12項目中2項目で有意 | 有意差なし |
| 装置で測った変化 | 有意差なし | 有意(効果量 0.63・1.21) |
キウイは「眠れた気がする」ほうに出ます。タルトチェリーは「本人は実感しないが、測ると眠っている」ほうに出ます。
ただし、この2つは同じ土俵で比べられません。
キウイは洋なしと比べた1本の試験の結果です。「毎晩なにか果物を食べる」という条件をそろえた、かなり厳しい比較です。一方タルトチェリーはプラセボと比べた8試験を統合したもので、その質は論文自身が「低〜中等度」としています。
効果の大きさも違います。キウイの差は小さい。タルトチェリーの客観指標は効果量1.21と大きいのですが、試験ごとのばらつきも大きく(異質性 I²=81.5%)、そのまま受け取れる数字ではありません。
この記事では、その中身を順に書きます。
キウイ:比べる相手を置くと、差は小さくなる
よく紹介されるのは「入眠時間が35%短縮」という数字です。これは24名を対象に、全員がキウイを食べ、前後を比べただけの試験から出ています(文献1)。参加者は男性2名・女性22名(20〜55歳)で、9割以上が女性でした。しかも睡眠障害は臨床診断ではなく、本人の申告によるものです。
その後、比べる相手を置いた試験が行われました。
キウイ130g vs 洋なし130g(74名・4週間)
いちばん設計のしっかりした試験です(文献2)。慢性的な不眠症状のある学生74名をランダムに2群に分け、片方はキウイ130g、もう片方は洋なし130gを、就寝1時間前に4週間毎日食べました。測定は睡眠日誌とアクチグラフの両方です。
12の評価項目のうち、キウイ群が洋なし群より有意に良かったのは2つ(睡眠日誌による「睡眠の質」と「日中の機能」)。客観的な測定では、そうした差は認められなかった。
論文の結論は「キウイには睡眠を改善する性質がいくらかあるかもしれない」です。
著者の視点
対照に洋なしを選んだところが、この試験のうまいところだと思います。水やカプセルでは、「毎晩なにか果物を食べる」という行為そのものの差が残ります。洋なしなら、そこがそろう。
かなり厳しい比較です。それでも2つは残りました。しかもその2つは「睡眠の質」と「日中の機能」——本人にとっていちばん実感に近い項目です。数字は小さくても、そこは軽く見なくていいと思っています。
6週間の試験でも、群間差は出ませんでした
サウジアラビアの試験です(文献3)。睡眠の質が悪い女子学生26名を、キウイ2個を就寝1時間前に6週間食べる群(14名)と対照群(12名)に分けました。
PSQIは両群とも基準時より改善した。しかし6週後、両群のあいだに差はなかった。疲労スコアが下がったのは対照群だけだった。
対照群でも睡眠は良くなっています。この点が、次の話につながります。
実践ポイント
- 試験の条件は「キウイ130g〜2個・就寝1時間前・4週間以上」
- 洋なしでも同じくらい改善しています。「キウイでなければ」という理由は出てきません
- 逆に言えば、「就寝1時間前に果物を食べる」という習慣そのものには試す価値があるかもしれません
- 文献3は26名のパイロット試験です。「差がなかった」も確定ではありません
「35%短縮」の正体を、数字で説明します
なぜ数字がこれほど違うのか。ここに答えがあります。
不眠症の臨床試験で、偽薬を飲んだ群に何が起きるかを統合したメタ解析があります(文献4)。その数字と、キウイの数字を並べます。
| 指標 | 偽薬群で起きる変化 | キウイ群の変化(文献1) |
|---|---|---|
| 入眠までの時間 | −13.5分 | −13.9分(34.3→20.4分) |
| 中途覚醒 | −13.3分 | −6.1分(18.9→12.8分) |
| 総睡眠時間 | +25.5分 | +40.8分(354.5→395.3分) |
入眠時間の改善幅は、ほぼ同じです。
「入眠時間が35%短縮」は、偽薬を飲んだ人にも同じくらい起きる幅だということになります。
そしてもうひとつ。このメタ解析は、脳波で測った客観測定(PSG)でも同じことが起きると報告しています。
| 指標 | 偽薬群・睡眠日誌 | 偽薬群・脳波測定 |
|---|---|---|
| 入眠までの時間 | −13.5分 | −13.7分 |
| 中途覚醒 | −13.3分 | −14.3分 |
| 総睡眠時間 | +25.5分 | +29.8分 |
著者らの結論はこうです。「客観的な測定であっても、プラセボ反応から守られるわけではない」。
著者の視点
この表を作ってみて、少し驚きました。「客観測定なら信用できる」と思い込んでいたからです。
実際には、装置で測ってもプラセボ反応は出ます。測り方を厳しくしても、比べる相手がいなければ意味がない。そういうことです。
誤解しないでいただきたいのは、文献1が悪い研究だという話ではないことです。論文自身が「対照群もクロスオーバーもないため、被験者の期待効果を確かめられなかった」と限界に書いています。問題は、その限界が落ちて数字だけが独り歩きしていることです。
実践ポイント
- 睡眠の効果をうたう情報を見たら、「何と比べたのか」を探してください
- 「前後で改善した」は、効いた証拠になりません
- 自分で試すときも同じです。記録をつけ始めた時点で、眠りは良くなります
タルトチェリー:こちらは逆でした
キウイと並んで挙がるのが、タルトチェリー(サワーチェリー)です。8つの試験を統合したメタ解析があります(文献5)。
先に対象を書いておきます。8試験のうち6試験は健康な人が対象で、不眠症の患者を対象にしたのは2試験だけです。年齢は20歳から85歳まで幅があります。大半は「もともと眠れている人」のデータだと思って読んでください。
そのうえで、結果はキウイと逆でした。
| 測り方 | 結果 |
|---|---|
| 主観(睡眠日誌) | 睡眠効率 効果量 0.07(P=0.94)/総睡眠時間 効果量 0.14(P=0.79)——どちらも有意差なし |
| 客観(アクチグラフ・加速度計・脳波) | 睡眠効率 効果量 0.63(P<0.01、異質性 I²=0%)/総睡眠時間 効果量 1.21(P<0.01、異質性 I²=81.5%) |
論文の結論です。
本人は主観的に効果を実感しないかもしれないが、客観的な測定では、総睡眠時間と睡眠効率の有意な改善を支持する証拠がある
不眠のある高齢者を対象にした試験では、総睡眠時間が84±61.7分延びたという報告もあります(文献5に含まれるLossoらの試験、P=0.0182)。
ただし、同じ試験で、睡眠効率・入眠潜時・REM潜時・中途覚醒・覚醒回数には、チェリー群とプラセボ群で有意差がありませんでした。延びたのは総睡眠時間だけです。
この2つを並べると
| キウイ(文献2) | タルトチェリー(文献5) | |
|---|---|---|
| 比較対象 | 洋なし | プラセボ |
| 自分で感じる変化 | 12項目中2項目で有意 | 有意差なし(P=0.94/0.79) |
| 装置で測った変化 | 有意差なし | 有意(効果量0.63/1.21) |
| 試験の質 | RCT 1本・74名 | 8試験・低〜中等度・異質性大 |
著者の視点
調べていて、いちばん意外だったのがこの対比です。
キウイは「眠れた気がする」。タルトチェリーは「実感はないが、実際に眠っている」。
どちらが良いかは、目的によります。日中がつらいのを何とかしたいなら、実感が動くほうに意味がある。健診の数字や体の回復を考えるなら、実際に眠れているほうが大事です。
ただし注意点もあります。タルトチェリーのメタ解析は8試験・質は低〜中等度で、著者ら自身が「標本が小さい」「短期の試験ばかりで長期のデータがない」と限界に挙げています。「タルトチェリーのほうが優れている」と結論するには早すぎます。
それと、主観で差が出なかった理由について、論文はこう説明しています。主観のメタ解析には不眠症の人が多く含まれていた——不眠症では、主観と客観のずれが大きくなることが知られています。設計の違いかもしれない、ということです。
実践ポイント
- タルトチェリーの試験で使われた量は、おおむね生のさくらんぼ100g相当を1日2回
- 日本では生果が手に入りにくく、ジュースや濃縮エキスでの試験が中心です
- 8試験・質は低〜中等度。確定した話ではありません
- 長期に続けたときのデータはありません
「メラトニンが多いから」は、どちらも支持されていません
キウイの記事を読むと、たいていこの数字が出てきます。
キウイ1gあたりのメラトニン含有量は約24µg
この記事では、この数字を使いません。理由を書きます。
①原著を確認できていません
出どころはHattoriらが1995年に発表した論文(文献8)です。食用植物のメラトニンを測った、この分野では有名な研究です。
掲載誌の Biochemistry and Molecular Biology International はすでに刊行されておらず、電子版が公開されていません。私はオンラインで原著を入手できませんでした。図書館や文献取り寄せなら入手できるはずですが、この記事を書いた時点では確認できていません。
②桁が合いません
タルトチェリーのメタ解析(文献5)に、はっきりした数字があります。
タルトチェリー100gに含まれるメラトニンは約0.135 µg、トリプトファンは9 mg。臨床用量はメラトニン0.5〜5 mg、トリプトファン1.2〜2.4 g。したがって、どちらもタルトチェリーの効果の直接の機序ではないと考えられる
タルトチェリー100gで0.135 µg。1gあたりに直すと1.35 ng/gです。
| メラトニン量 | 出どころ | |
|---|---|---|
| よく引用される値(キウイ) | 24 µg/g | 一次資料を確認できず(文献8) |
| タルトチェリー | 1.35 ng/g | 全文で確認済み(文献5) |
| よく引用される値(バナナ) | 8.9 pg/g | 一次資料を確認できず(文献9) |
キウイがタルトチェリーの約18,000倍、という計算になります。
ただし、確認できたのは真ん中の1行だけです。キウイもバナナも、よく引用される値の一次資料にたどり着けませんでした。
タルトチェリーは、睡眠のためのサプリや濃縮ジュースが実際に売られている果物です。その値が 1.35 ng/g。キウイがその18,000倍だとすれば、サプリになっているのはキウイのほうだったはずです。そうなっていません。
③実際に測ったら、増えませんでした
決定的なのは、こちらです。
キウイを食べたあとの尿を測った試験があります(文献6)。健康な若い男性を対象に、生のキウイ・乾燥キウイ・水(対照)の3条件を比べました。
| 測ったもの | 結果 |
|---|---|
| 5-HIAA(セロトニンの代謝物) | 生 +1.56 ng/g(p=0.001)/乾燥 +1.30 ng/g(p=0.004)(対照 4.32 ng/g) |
| aMT6s(メラトニンの代謝物) | 処置による効果は認められず |
セロトニンの代謝物は増えました。メラトニンの代謝物は増えませんでした。
著者らは、こう書いています。
「メラトニンとは無関係な別の機序が関与している可能性を示唆する」
そして、タルトチェリーの側も同じです。文献5の著者らは、メラトニンもトリプトファンも量が足りないため直接の機序ではないと書いています。
つまり、キウイもタルトチェリーも、「メラトニンだから効く」という説明を研究者が採用していません。
著者の視点
なぜこの説明が広まったのか、想像はつきます。分かりやすいからです。「メラトニンは睡眠ホルモン」「果物にメラトニンが入っている」「だから眠れる」——3行で完結します。
でも、実際に測った研究では増えていません。量も足りていません。説明として気持ちのいい話ほど、確かめる必要があるのだと感じます。
それと、この24 µg/gという数字はあちこちの記事で同じ形のまま使われています。元をたどると1本の論文に行き着きますが、そこで止まっている書き手がほとんどではないかと感じました。原著は取り寄せれば読めます。読まずに孫引きするから、同じ数字が確かめられないまま増えていく。私も今回、そこで止まりました。
実践ポイント
- 成分量を見たら、単位を確認してください。pg・ng・µg・mgは1,000倍ずつ違います
- 「1個あたり何mgになるか」まで計算すると、桁の異常に気づけます
- 食品のメラトニン量は、サプリの用量に遠く及びません。タルトチェリー100gで0.135 µg。臨床用量0.5〜5 mgと比べると、3,700〜37,000分の1です
- 成分が含まれていることと、食べて体内でその成分が増えることは別です
それでも、食べる理由はあります
ここまで数字を削ってきましたが、「意味がない」とは思いません。
①害がほぼない
副作用も依存も、飲み合わせの心配もありません。効かなかったとしても、失うものがほぼない。睡眠薬にも、市販の睡眠改善薬にも、同じことは言えません。
②気分と活力には、別の証拠がある
睡眠とは別に、気分を主要な評価項目にした試験があります(文献7)。軽度から中等度の気分の落ち込みがある成人26名に、サンゴールドキウイ2個を毎日4週間食べてもらい、通常の食事と比べたクロスオーバー試験です。
| 指標 | 変化 |
|---|---|
| 総合的な気分の乱れ | −65.2%(p<0.001) |
| 幸福感 | +10.5%(p<0.01) |
| 活力 | +17.3%(p=0.001) |
| 血中ビタミンC | +27.5%(p=0.002) |
| 消化器症状 | −16.2%(p=0.003) |
ただしこの試験は非盲検で、比較対象は「いつもの食事」です。キウイを食べていることを本人が分かっています。この記事でここまで見てきたとおり、その分は差し引いて読む必要があります。
③果物としての中身は、議論の余地がない
グリーンキウイ100gあたりの成分です(文献10)。
| 成分 | 100gあたり |
|---|---|
| ビタミンC | 93 mg(ヘイワード種で80〜120 mg) |
| 食物繊維 | 約3 g |
| カリウム | 312 mg |
| 葉酸 | 25 µg |
| エネルギー | 61 kcal |
ビタミンCは、100gで1日分をまかなえる量です。文献7でも、キウイを食べた条件で血中ビタミンCが27.5%増えています。
著者の視点
期待の置き場所を変えるのがいいと思っています。「キウイを食べれば眠れる」ではなく、「果物をひとつ増やす。眠りに効いたら儲けもの」くらいです。
眠れない夜が続くのはつらいことです。リスクの低いものから試したくなる気持ちは、よく分かります。キウイはその条件を満たしています。ただ、試す理由は「効くと分かっているから」ではありません。効かなくても損をしないからです。
実践ポイント
- 睡眠のためだけに買うなら、期待しすぎないでください
- 「果物を1日1つ増やす」という目的なら、根拠は十分あります。ビタミンCは100gで1日分です
- サプリではなく生の果物で試してください。試験で使われたのは生果です
- 気分の落ち込みが気になる方には、文献7という別の切り口があります(ただし非盲検なので、数字は割り引いて読んでください)
- 腎機能が低下している方はカリウムに注意を。キウイ100gに312 mg含まれます
試すなら、この条件で
| キウイ | タルトチェリー | |
|---|---|---|
| 量 | 2個(または130g) | 生果100g相当を1日2回 |
| タイミング | 就寝1時間前 | 試験により幅あり(朝と就寝前の2回が多い) |
| 期間 | 4週間以上 | 3日〜3か月(短期の試験が中心) |
| 期待できる方向 | 実感としての睡眠の質 | 測定上の睡眠時間・睡眠効率 |
キウイで「就寝1時間前」なのには理由があります。文献1が書いています。ペクチンの多い食品の消化がおよそ1時間で完了するという先行研究にもとづき、消化・吸収が終わった状態で効果を見るために設定したとのことです。
実践ポイント
- 4週間続けて、変わらなければやめる。期限を決めるほうが判断できます
- 記録をつけると、それだけで眠りは良くなります(文献3の対照群がそうでした)。「良くなった=キウイのおかげ」とは限りません
- キウイはアレルギーの原因になることがあります(口の中のかゆみ・腫れ)。ラテックスアレルギーのある方は特に注意を
- タルトチェリーはジュースや濃縮エキスが中心です。糖分の量を確認してください
- 不眠が続いている場合は、食べ物で解決しようとしないでください。改善しなければ医療機関へ
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まとめ
キウイとタルトチェリーは、逆の形で効いていました。
キウイは、洋なしと比べて12項目中2項目で有意でした。ただし自分で感じる項目だけで、装置で測ると差はありません。
タルトチェリーは逆です。主観では差が出ず、客観測定では有意でした(睡眠効率 効果量0.63、総睡眠時間 効果量1.21)。
「入眠時間が35%短縮」という数字は、比べる相手のいない試験から出ています。改善幅は−13.9分。不眠症の臨床試験で偽薬を飲んだ群に起きる変化(−13.5分)と、ほぼ同じです。
「メラトニンが多いから」という説明も、どちらの果物でも支持されていません。キウイではメラトニンの代謝物が増えず、タルトチェリーでは量が臨床用量の3,700〜37,000分の1しかありません。
それでも私は、キウイを否定しません。害がほぼなく、ビタミンCは100gで1日分あり、気分については別の証拠もあります。
効くと分かっているから試すのではなく、効かなくても損をしないから試す。キウイは、その位置にある食べ物だと思います。
医療に関する注意
本記事は健康情報の提供を目的としており、診断・治療・医療行為を推奨するものではありません。紹介した研究は対象・人数・期間が限られ、対照群を欠くもの、非盲検のものも含まれます。すべての方に同じ結果が当てはまるわけではありません。不眠が続く場合、日中の生活に支障がある場合は、食品で対処しようとせず医療機関にご相談ください。睡眠薬を服用中の方は、自己判断で中止・減量しないでください。キウイはアレルギー(口腔アレルギー症候群)の原因となることがあり、ラテックスアレルギーのある方は交差反応に注意が必要です。腎機能が低下している方はカリウム摂取について、抗凝固薬を服用中の方はビタミンKについて、主治医にご確認ください。
【使用文献】
文献1|Lin HH, Tsai PS, Fang SC, Liu JF. Effect of kiwifruit consumption on sleep quality in adults with sleep problems. Asia Pacific Journal of Clinical Nutrition. 2011;20(2):169-174. PMID: 21669584 http://apjcn.nhri.org.tw/server/APJCN/20/2/169.pdf (自己申告で睡眠障害のある成人24名[男性2名・女性22名、20〜55歳]が、就寝1時間前にキウイ2個を4週間摂取。対照群・プラセボ・クロスオーバーのない自己対照デザイン。睡眠日誌では各指標が改善したが、アクチグラフでは入眠潜時・中途覚醒に有意差なし。本論文にメラトニンへの言及はない。本研究はゼスプリ・インターナショナル社の支援を受けている[著者らは利益相反なしと申告])
文献2|Nødtvedt ØO, Hansen AL, Bjorvatn B, Pallesen S. The effects of kiwi fruit consumption in students with chronic insomnia symptoms: a randomized controlled trial. Sleep and Biological Rhythms. 2017;15(2):159-166. DOI: 10.1007/s41105-017-0095-9 (慢性不眠症状のある学生74名のランダム化比較試験。キウイ130g と洋なし130g[対照]を就寝1時間前に4週間摂取して比較。12の評価項目のうち2項目[睡眠日誌による睡眠の質・日中の機能]でのみキウイ群が有意。客観的測定では効果を認めず)
文献3|AlSaleh A, et al. The effect of kiwifruit consumption on sleep quality, fatigue, and BMI in Saudi students with poor sleep quality: a 6-week pilot randomized controlled trial. Nutrire. 2024;49:57. DOI: 10.1186/s41110-024-00297-0. ClinicalTrials.gov NCT05953324 (睡眠の質が悪い女子学生26名のパイロットRCT。14名がキウイ2個を就寝1時間前に6週間摂取、12名が対照。PSQIは両群とも改善したが群間差なし。疲労スコアの低下は対照群のみ。論文は標本の小ささと女性のみを対象とした点を限界に挙げている)
文献4|Perlis ML, et al. Do Placebos Primarily Affect Subjective as Opposed to Objective Measures? A Meta-Analysis of Placebo Responses in Insomnia RCTs. Behavioral Sleep Medicine. 2023;21(4). DOI: 10.1080/15402002.2022.2115046. PMID: 36094215 (不眠症のランダム化比較試験でプラセボ群に生じる変化を統合したメタ解析。入眠潜時は睡眠日誌で−13.5分、睡眠ポリグラフでも−13.7分。著者らは「客観的測定はプラセボ反応から守ってくれるようには見えない」と結論している)
文献5|Stretton B, Eranki A, Kovoor J, Bacchi S, Gupta A, Maddern G, Boyd M. Too Sour to be True? Tart Cherries (Prunus cerasus) and Sleep: a Systematic Review and Meta-analysis. Current Sleep Medicine Reports. 2023;9:225-233. DOI: 10.1007/s40675-023-00261-w (8試験のシステマティックレビューとメタ解析[PROSPERO CRD42021279145]。方法論的な質は低〜中等度で、8試験中6試験は健康な人が対象。[主観]睡眠効率 効果量0.07[P=0.94]・総睡眠時間 効果量0.14[P=0.79]でいずれも有意差なし。[客観]睡眠効率 効果量0.63[P<0.01、I²=0%]・総睡眠時間 効果量1.21[P<0.01、I²=81.5%]でいずれも有意。生果100g相当のメラトニンは約0.135 µg、トリプトファンは9 mgで臨床用量に遠く及ばず、著者らは「いずれも直接の機序ではない」と述べている)
文献6|Kanon AP, Giezenaar C, Roy NC, McNabb WC, Henare SJ. Acute effects of fresh versus dried Hayward green kiwifruit on sleep quality, mood, and sleep-related urinary metabolites in healthy young men with good and poor sleep quality. Frontiers in Nutrition. 2023;10:1079609. DOI: 10.3389/fnut.2023.1079609 (健康な若い男性を対象に、生キウイ・乾燥キウイ・水対照の3条件を比較。尿中セロトニン代謝物5-HIAAは有意に増加した一方、尿中メラトニン代謝物aMT6sには処置による効果を認めなかった。著者らはその理由として、朝1回の採尿では測りきれない可能性と、「メラトニンとは無関係な別の機序が関与している可能性」を挙げている)
文献7|Conner TS, et al. SunGold Kiwifruit and Psychological Health (GoKiPH): A Randomised Controlled Crossover Trial. 2025. PMID: 40284237 (気分の落ち込みがある成人26名を対象とした非盲検クロスオーバー試験。サンゴールドキウイ2個/日と通常の食事を各4週間比較。気分の乱れ −65.2%[p<0.001]、活力 +17.3%[p=0.001]。非盲検であり、比較対象は「通常の食事」。睡眠は主要評価項目ではない)
文献8|Hattori A, Migitaka H, Iigo M, Itoh M, Yamamoto K, Ohtani-Kaneko R, Hara M, Suzuki T, Reiter RJ. Identification of melatonin in plants and its effects on plasma melatonin levels and binding to melatonin receptors in vertebrates. Biochemistry and Molecular Biology International. 1995;35(3):627-634. PMID: 7773197 (食用植物からメラトニンを同定した論文。「キウイのメラトニンは24 µg/g」という値の出どころは、この論文にたどり着く。ただし掲載誌はすでに刊行されておらず電子版が公開されていないため、執筆時点でオンラインからは原著を入手できず、数値と単位を確認できていない。そのため本記事ではこの数値を使用していない)
文献9|Sae-Teaw M, Johns J, Johns NP, Subongkot S. Serum melatonin levels and antioxidant capacities after consumption of pineapple, orange, or banana by healthy male volunteers. Journal of Pineal Research. 2013;55(1):58-64. DOI: 10.1111/jpi.12025 (健康な男性12名に、オレンジ1kg分・パイナップル1kg分のジュースまたはバナナ2本を摂取させ、血清メラトニンを測定。120分後の値はオレンジ40→151 pg/mL、パイナップル48→146 pg/mL、バナナ32→140 pg/mL。なお「バナナの生果実中メラトニンは8.9 pg/g」という値は広く本論文に帰されているが、抄録に果実中の含有量の記載はなく、執筆時点で一次資料を確認できていない。掲載誌が有料のためオンラインから全文を入手できず、抄録に明記された範囲による)
文献10|USDA FoodData Central. Kiwifruit, green, raw(FDC ID 168153)/Richardson DP, et al. The nutritional and health attributes of kiwifruit: a review. European Journal of Nutrition. 2018 (グリーンキウイ生果100gあたり:ビタミンC 約93 mg、食物繊維 約3 g、カリウム 312 mg、葉酸 25 µg、エネルギー 61 kcal)


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