熱帯夜に眠れないのはなぜ?明け方に目が覚める理由と対策を保健学博士が解説

動脈硬化ケア

私は寒がりです。だから夏でもエアコンは28℃にして寝ています。

それでも、午前5時ごろになると暑くて目が覚めます。寝入りばなは何ともないのに、明け方だけ。エアコンの調子が悪いのかと疑ったこともありました。

でも違いました。明け方に暑くなるのには、体の側に理由があります。

この記事では、熱帯夜に眠れないしくみを整理したうえで、「明け方だけ暑い」という現象の正体と、よく見かける「28℃・タイマー2〜3時間」という助言をどう考えるかまで書きます。最後に、看護師として夜間救急で見てきたことにも触れます。熱帯夜は、眠りだけの話ではないからです。


熱帯夜とは何度からか

気象庁の定義では、夜間の最低気温が25℃以上の夜を熱帯夜と呼びます(文献1)。

25℃という線引きは体感とよく合っています。この温度を境に、多くの人が寝苦しさを訴え、エアコンに手が伸びます。

そして日本の夏は、実際に暑くなっています。環境省が気象庁データをもとにまとめた資料によれば、国内の夏(6〜8月)の平均気温は100年あたり1.31℃の割合で上昇しており、2023年と2024年が統計開始(1898年)以降で最も暑い夏でした(文献2)。都市部では、これにヒートアイランド現象が上乗せされます。

「昔より夜が暑い気がする」という感覚は、気のせいではありません。

著者の視点

私が子どものころ、夏の夜は窓を開けるだけで眠れました。扇風機すら要らなかったのです。今、同じことをしたら熱中症の心配をしなければいけません。同じ「夏の夜」という言葉でも、中身が変わっている

これは感想ではありません。環境省は、高齢者が熱中症になりやすい背景の一つとして、はっきり「今よりも涼しかった『以前の日本の夏の暑さ』のイメージでいる」を挙げています(文献2)。昔の記憶のまま夏を過ごすことが、公式にリスク要因として名指しされているのです。

実践ポイント

  • 天気予報で気温を見るとき、最高気温だけでなく最低気温を確認する。25℃を超える予報なら、その夜は寝室の対策が要る
  • 「窓を開けて扇風機」で済むかどうかは、育った時代の記憶ではなく、その夜の数字で判断する

暑いと眠れないのは、気のせいではない

まず、暑さが本当に睡眠を削っているのかを確認しておきます。

Obradovich らは、アメリカの765,000人分の調査データ(2002〜2011年)と夜間の気温データを突き合わせました(文献3)。結果は明快で、夜間の月平均気温が1℃上がるごとに、100人あたり月およそ3晩、「睡眠が足りない」と答える夜が増えるという関係が見られました。

そしてこの影響は、夏にもっとも大きく、高齢者と低所得層でとくに強く出ていました。

厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」も、同じ方向を指しています。日本人の睡眠時間は季節で変動し、夏は他の季節に比べて短く、寝つきや眠りの持続が難しくなること、その一因として日長時間の延長に加えて高温・多湿な寝室環境が挙げられています(文献4)。

著者の視点

「高齢者と低所得層で影響が大きい」という結果は、そのまま日本の課題でもあります。エアコンを持っていない、電気代が心配で使えない、そもそも寝室にエアコンがない。暑さで眠れないことが、経済状況によって差がつく問題になっているという視点は、公衆衛生の側から言っておきたいところです。

実践ポイント

  • 「暑くて眠れない」を我慢や慣れの問題として扱わない。数十万人規模のデータで確認されている現象です
  • 高齢のご家族が別居している場合、寝室にエアコンがあるか、実際に使っているかを夏前に確認しておく

なぜ暑いと眠れないのか:深部体温が下がらない

眠りに入るとき、体の内部の温度(深部体温)は下がります。この2つは同時に起こる現象で、切り離せません。Harding らのレビューでは、入眠と深部体温の低下は一緒に生じ、ノンレム睡眠の間も体と脳の冷却が続くと整理されています(文献5)。

熱を逃がす主な出口は、手足の皮膚です。眠くなると手足が温かくなるのは、そこから熱を放散して内部を冷やしているためです。

ところが室温が高いと、この放熱がうまくいきません。外が暑ければ、熱の逃げ場がないからです。結果として深部体温が下がりきらず、眠りのスイッチが入りにくくなる、あるいは入っても浅くなります。

日本の研究も、これを実験で示しています。Okamoto-Mizuno らは健康な男性7名(平均22.7歳)に、29℃・35℃湿度50%・75%を組み合わせた4条件で一晩ずつ眠ってもらいました(文献6)。快適な温度域を超える暑さでは、覚醒が増え、徐波睡眠(深い眠り)とレム睡眠が減るという結果でした。

暑い夜に「眠れたはずなのに疲れが取れない」のは、この深い眠りが削られているためと考えられます。

著者の視点

夏の寝苦しさを「気合い」や「慣れ」の問題にする空気が、いまだにあります。でも中身は物理と生理です。熱の逃げ場がなければ深部体温は下がらない。下がらなければ、眠りは深くならない。精神論の入る余地はありません。だから対策も、根性ではなく環境をいじる方向に向かうのが筋だと考えています。

実践ポイント

  • 深部体温を下げる助けになるのは、手足からの放熱。靴下を履いたまま寝ると出口をふさぐことになります
  • 就寝の1〜2時間前の入浴は、いったん上がった体温がその後下がる流れを作ります。夏は熱い湯を避け、ぬるめで
  • 寝室は、寝る少し前から冷やしておく。布団に入ってから冷やし始めるのでは間に合いません

「28℃なのに明け方だけ暑い」の正体

ここが、私がいちばん書きたかったところです。

同じ室温なのに、なぜ明け方だけ暑いのか。理由は2つ重なっています。

① レム睡眠中は、汗をかく力がいちばん弱くなる

眠りの後半になるほど、レム睡眠の割合が増えます。そして——レム睡眠の間は、体温を調節する働きが弱まります(文献5)。

ここは正確に書きます。「止まる」わけではありません。ヒトを対象に一晩の発汗量を測った研究では、同じ体温でも発汗の量は深い眠り(徐波睡眠)でもっとも多く、浅い眠りではそれより少なく、レム睡眠でもっとも少ないという段階差が確認されています(文献7)。暑さ・寒さへの反応も、レム睡眠中は完全に消えるのではなく、ノンレム睡眠と比べて鈍くなる、というのが実際のところです。

それでも意味は大きい。汗の量が減れば、蒸発によって熱を逃がす力もその分落ちます。レム睡眠中の体は、暑さに対していちばん手薄になるということです。

寝入りばなは、まだ体がしっかり汗をかいて調整してくれています。だから同じ28℃でも耐えられる。ところが明け方は、その働きが弱い時間帯の割合が増えている。室温は変わっていないのに、体の守りだけが薄くなっているわけです。

② 深部体温は明け方に底を打ち、上昇に転じる

重なるものが、もう一つあります。深部体温には24時間のリズムがあり、明け方に最低となったあと、起床に向けて上がり始めます。

つまり明け方は、体が自ら温度を上げにいく時間帯でもあります。守りが薄いところに、内側から温度が上がってくる。

著者の視点として

「レム睡眠で発汗が減る」ことと「明け方に深部体温が上がる」ことは、それぞれ研究で示されています。ただしこの2つを重ねて『だから5時に目が覚める』と証明した研究を、私は見つけられませんでした。しくみから考えて筋は通ると思っていますが、ここは確立した事実ではなく、私の解釈です。なお発汗の段階差を示した研究は5名と小規模で、その点も差し引いて読む必要があります。

著者の視点

それでも、この見方は私を楽にしました。エアコンのせいでも、年のせいでもない。寒がりの私が28℃を選ぶのは寝入りばなには合っていて、明け方には合っていない、というだけかもしれない。だとすれば打つ手があります。設定温度を我慢して下げるのではなく、明け方だけ環境を変えればいい。実際、私はそれで前より楽になりました。

実践ポイント

  • 明け方に向けて1〜2℃下げるタイマー設定にする(機種によっては「おやすみ運転」で自動調整できます)
  • 冷房を強めるのが苦手なら、明け方だけ弱風の扇風機やサーキュレーターが回るようにする。体に直接当てず、壁や天井に向けて空気を動かす
  • 寝具を変える。明け方に暑いなら、掛けるものを薄くするより敷きパッドを通気性の良いものにするほうが効きます(背中は熱がこもります)
  • ※ここでの具体策は論文が直接検証した内容を超える部分を含みます。しくみから導いた、著者の視点としての工夫です

温度だけでなく、湿度が効く

日本の夏で見落とされがちなのが湿度です。

汗は、蒸発するときに熱を奪うことで体を冷やします。ところが湿度が高いと蒸発しにくくなり、汗をかいているのに冷えないという状態になります。同じ28℃でも、湿度50%と75%ではまったく別物です。

先ほどのOkamoto-Mizuno らの実験も、温度と湿度を組み合わせて調べていました(文献6)。日本の蒸し暑い夜を再現しようとすると、湿度を外して考えるわけにはいかないからです。

さらに同じ研究グループは、睡眠の前半と後半のどちらで暑さにさらされるかでも影響が違うことを報告しています。眠りの前半に暑い環境に置かれたほうが、睡眠段階の乱れも深部体温の低下の妨げも大きく、「エアコンの使用が限られるなら、睡眠の前半に使うべきだ」と述べています(文献8)。

ここは、私の実感とねじれるところです。私が困っているのは後半なのに、生理学的な指標としては前半の暑さのほうが響く。おそらく前半は体が対処しようとして眠りが乱れ、後半は対処できないまま目が覚める、という違いなのだと思います。どちらにしても、前半を犠牲にする「後からつける」運用がいちばん損という点は共通しています。

著者の視点

日本の夏を語るとき、温度だけを見るのは片手落ちです。同じ28℃でも、湿度が50%か75%かで体の冷え方はまるで違う。寝室に温度計はあっても、湿度計まで置いている家は少ないのではないでしょうか。そして寒がりで設定温度を下げたくない人ほど、温度を下げるより除湿を足すほうが理にかなっています。私自身、そこに気づくのが遅れました。

実践ポイント

  • 温度計だけでなく湿度計を寝室に置く。目標は50〜60%程度
  • 設定温度を下げるより、除湿(ドライ)運転を併用するほうが、寒がりの人には合うことがあります
  • 「暑くなってからつける」ではなく、寝る前から動かしておく

「28℃・タイマー2〜3時間」は妥当か

インターネット上には、「エアコンは28℃に設定し、タイマーを2〜3時間にする。つけっぱなしは体を冷やすので危険」という助言が大量にあります。

はっきり書きます。この運用は、少なくとも高齢の方にはすすめられません。

日本の熱中症は、規模の大きい問題です。救急搬送人員は2024年に97,578人と過去最多を記録し、死亡者は近年ほぼ毎年1,000人を超えています。そして死亡者の8割超が65歳以上の高齢者です(2023年で83%)(文献2)。

環境省は、高齢者が熱中症になりやすい背景として、暑さやのどの渇きを感じにくくなること、体内の水分量が少ないこと、発汗量や皮膚血流量が少ないことに加えて、「エアコンによる『冷え』や電気代を心配し、エアコンをあえて積極的に使わない」ことを挙げています(文献2)。

夜間、タイマーで冷房が切れたあとに室温が上がっていく時間帯は、まさにこの危険が高まる場面です。しかも高齢になるほど、その暑さに気づきにくくなります。

見落とされやすい点が、まだあります。28℃は「設定温度」であって「室温」ではありません。 機種や部屋の条件によっては、設定28℃でも室温がそれを上回ることがあります。寝室の実際の温度を測ったことがある人は、意外と少ないのではないでしょうか。

著者の視点

「体を冷やしすぎるのはよくない」という感覚自体は、間違っていません。私も寒がりなので気持ちはよく分かります。ただ、冷えすぎのリスクと、夜間熱中症のリスクは、重さが違います。前者は寝具や服装で調整できますが、後者は命に関わります。順番を間違えないでほしいと思っています。

扇風機だけで乗り切れるか

扇風機は、汗の蒸発を助けることで体を冷やします。だから室温が皮膚の温度より低いうちは有効です。

問題は、室温が体温に近づいたときです。そうなると扇風機は、熱い空気を体に吹きつける装置になります。米国CDCは、気温がおよそ32℃(90°F)を超える環境では扇風機がかえって体温を上げうるとして、扇風機だけに頼らないよう促してきました(文献9)。

ただし正直に書くと、この基準には近年「根拠が十分ではない」という指摘が出ています。皮膚を濡らして併用すれば、より高い気温でも有効だとする研究もあります。決着はついていません。

実用的には、こう考えるのが妥当だと思います。熱帯夜の25〜28℃程度なら、扇風機は十分役に立つ。ただし室温が30℃を大きく超えるようなら、扇風機だけに頼らない。

実践ポイント

  • 熱帯夜は冷房をつけたまま眠る。切るのではなく、寝具や着るもので寒さを調整する
  • 設定温度ではなく、寝室に温度計を置いて室温を見る
  • 高齢のご家族には「電気代は気にしないで」と具体的に伝える。遠慮して使わない方が少なくありません
  • 節電そのものは諦めなくて大丈夫です。フィルター掃除や室外機まわりの整理など、エアコンを使ったまま電気代を下げる方法は〔エアコンを我慢すると熱中症になる?〕にまとめています
  • 就寝前と起床後の水分補給もセットで。夏の夜は、汗で失う量が思っている以上です

▶︎ あわせて読みたい:高齢者が熱中症になりやすい理由|親世代を守るために知っておきたいこと

▶︎ あわせて読みたい:夏の脱水は心筋梗塞・脳梗塞のリスク?水分と血液の関係を保健学博士が解説


熱帯夜は、血管の話でもある

ここからは、眠りから少し離れます。

私は以前、夜間救急にいました。冬に心筋梗塞の搬送が多いのは知られたことですが、私が印象に残っているのは真夏の夜です。心筋梗塞も脳梗塞も、かなりの数が運ばれてきました。当時は「夏なのに」と思いながら見ていました。

近年、その光景に数字がつきました。

He らは、ドイツ・アウクスブルクで15年間・約11,000件の脳卒中を集め、夜間の暑さとの関係を調べました(文献10)。結果は、夜間の強い暑さにさらされた夜は、脳卒中の発症リスクが約7%高いというものでした。

さらに注目すべきは、その影響が時代とともに強まっている点です。2006〜2012年には暑い夜による上乗せが年2件程度だったのに対し、2013〜2020年では年33件に増えていました。

そして、とくにリスクが高かったのは高齢者と女性でした。

もちろんこれは観察研究であり、ドイツのデータです。「熱帯夜が脳卒中を起こす」と断定できるものではありませんし、日本にそのまま当てはめることもできません。それでも、夜の暑さを「寝苦しい」だけの問題として扱うのは足りないということは言えると思います。

著者の視点

動脈硬化の予防を専門にしてきた立場から見ると、道筋は想像がつきます。暑さで汗をかき、水分が失われ、血液が濃くなる。睡眠が削られて血圧や血糖が乱れる。夜間は本来なら血圧が下がって血管が休む時間帯なのに、そこで負荷がかかる。ひとつひとつは小さくても、重なる場所が悪い。夜間救急で見ていた光景と、この研究は矛盾しません。

実践ポイント

  • 高血圧・糖尿病・脂質異常症などをお持ちの方は、熱帯夜を「体調管理の日」として扱う。冷房と水分を惜しまない
  • 就寝前と起床後にコップ1杯を習慣にする。夜間の脱水は自覚しにくいものです
  • 明け方から午前中は、もともと循環器イベントが起きやすい時間帯です。熱帯夜が続いた翌朝は、いつも以上に無理をしない
  • 胸の圧迫感、ろれつが回らない、片側の手足の力が入らないといった症状があれば、迷わず救急要請を

今夜からできること

場面やること
寝る前寝室を先に冷やす/湿度計で50〜60%を確認/コップ1杯の水
就寝時冷房はつけたまま。寒さは寝具と服装で調整/靴下は脱ぐ
明け方対策1〜2℃下がるタイマー、または弱風の送風を明け方に
起床後もう1杯の水/カーテンを開けて光を浴びる
家族に対して寝室にエアコンがあるか、使っているかを確認する

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まとめ

熱帯夜に眠れないのは、根性の問題ではありません。室温が高いと深部体温が下がりきらず、眠りのスイッチが入りにくくなる。数十万人規模のデータでも、夜間の気温が上がるほど睡眠不足の夜が増えることが確認されています。

そして「明け方だけ暑い」については、説明のつく道筋があります。眠りの後半はレム睡眠が増え、その間は発汗の量がいちばん少なくなる。同じ室温でも、体の守りだけが薄くなります。そこへ深部体温が上昇に転じる時間帯が重なる。この2つを結びつけて証明した研究があるわけではありませんが、しくみとしては筋が通ります。

だとすれば、打つ手は設定温度を我慢して下げることではなく、明け方に向けて環境のほうを動かすことになります。

よく見かける「28℃・タイマー2〜3時間」という運用も、高齢の方には考え直してほしいところです。冷えすぎなら寝具で調整がききます。夜間熱中症は、そうはいきません。

最後にもう一度書いておきます。熱帯夜は、寝苦しさだけの話で終わりません。夜の暑さと脳卒中リスクの関連が報告され、その影響は年々強まっています。私が夜間救急で見ていた真夏の搬送は、たまたまではなかったのだと、今は思っています。


医療に関する注意

本記事は健康情報の提供を目的としており、診断・治療・医療行為を推奨するものではありません。紹介した研究には観察研究が含まれ、関連を示すものであって因果関係を確定するものではありません。持病のある方、服薬中の方、妊娠中の方は、冷房や水分摂取の方法についてかかりつけ医の指示を優先してください。強い頭痛・めまい・吐き気・意識のもうろうといった熱中症を疑う症状、また胸の圧迫感やろれつが回らない・片側の手足に力が入らないといった症状があるときは、自己判断せず速やかに医療機関を受診するか救急要請をしてください。

症状の重症度の見分け方、応急処置の手順、救急車を呼ぶ判断基準については〔熱中症の初期症状チェックリスト|応急処置の手順と救急車を呼ぶ判断基準を解説〕で詳しく扱っています。


【使用文献】

文献1|気象庁「予報用語」(熱帯夜の定義) https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/yougo_hp/kion.html (夜間の最低気温が25℃以上の夜を熱帯夜と呼ぶ)

文献2|環境省 大臣官房環境保健部企画課 熱中症対策室「熱中症に関する最新の情報」(令和7年3月19日)/環境省「熱中症環境保健マニュアル」 https://www.env.go.jp/content/000299035.pdf (国内の夏(6〜8月)の平均気温は100年あたり1.31℃の割合で上昇し、2023年・2024年が統計開始の1898年以降で最も暑い夏。熱中症の救急搬送人員は2024年に97,578人と過去最多、死亡者は近年ほぼ毎年1,000人超で、うち65歳以上が8割超[2023年83%]。高齢者がなりやすい背景として「暑さを感じにくくなる」「のどの渇きを感じにくくなる」「エアコンによる冷えや電気代を心配し、エアコンをあえて積極的に使わない」「今よりも涼しかった以前の日本の夏の暑さのイメージでいる」等を挙げている)

文献3|Obradovich N, Migliorini R, Mednick SC, Fowler JH. Nighttime temperature and human sleep loss in a changing climate. Science Advances. 2017;3(5):e1601555. DOI: 10.1126/sciadv.1601555. PMID: 28560320 (米国765,000人・2002〜2011年。夜間の月平均気温が1℃上昇するごとに、100人あたり月約3晩の睡眠不足が増加。影響は夏季・高齢者・低所得層で最大)

文献4|厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」(令和6年2月策定、令和6年9月18日一部修正) https://www.mhlw.go.jp/content/001305530.pdf (夏季は他の季節に比べ睡眠時間が短く、寝つきや眠りの持続が難しいこと、高温・多湿な寝室環境が一因であることを記載)

文献5|Harding EC, Franks NP, Wisden W. The temperature dependence of sleep. Frontiers in Neuroscience. 2019;13:336. DOI: 10.3389/fnins.2019.00336. PMID: 31105512 (入眠と深部体温の低下が同時に起こること、ノンレム睡眠中も冷却が続くこと、レム睡眠中は発汗・ふるえなどの体温調節が失われることを整理した総説)

文献6|Okamoto-Mizuno K, Mizuno K, Michie S, Maeda A, Iizuka S. Effects of humid heat exposure on human sleep stages and body temperature. Sleep. 1999;22(6):767-773. PMID: 10505822 (健康な男性7名・平均22.7歳。29℃/35℃×湿度50%/75%の4条件で終夜睡眠を測定。快適域を超える暑さで覚醒が増え、徐波睡眠とレム睡眠が減少。若年男性のみを対象とした小規模研究である点に注意)

文献7|Sagot JC, Amoros C, Candas V, Libert JP. Sweating responses and body temperatures during nocturnal sleep in humans. American Journal of Physiology. 1987;252(3 Pt 2):R462-R470. DOI: 10.1152/ajpregu.1987.252.3.R462. PMID: 3826411 (ヒト5名を中性・温暖条件で終夜測定。同じ食道温でも発汗量に睡眠段階による差があり、徐波睡眠で最も多く、浅い睡眠がそれに次ぎ、レム睡眠で最も少なかった。5名と小規模)

文献8|Okamoto-Mizuno K, Tsuzuki K, Mizuno K, Iwaki T. Effects of partial humid heat exposure during different segments of sleep on human sleep stages and body temperature. Physiology & Behavior. 2005;83(5):759-765. DOI: 10.1016/j.physbeh.2004.09.009. PMID: 15639161 (睡眠の前半に暑さにさらされたほうが、睡眠段階の乱れと深部体温低下の妨げが大きい。冷房の使用が限られる場合は睡眠前半に使うべきと結論)

文献9|Centers for Disease Control and Prevention(米国疾病予防管理センター)「Preventing Heat-Related Illness」:高温環境における扇風機の使用に関する注意喚起 https://www.cdc.gov/extreme-heat/prevention/index.html (気温が約32℃[90°F]を超える環境では、扇風機が体温を上昇させうるとして、扇風機のみに頼らないよう推奨。ただし近年、この基準の根拠を問う指摘や、皮膚の湿潤と併用すればより高温でも有効とする研究がある)

文献10|He C, Breitner S, Zhang S, et al. Nocturnal heat exposure and stroke risk. European Heart Journal. 2024;45(24):2158-2166. DOI: 10.1093/eurheartj/ehae277. PMC: PMC11212822 (独アウクスブルク・2006〜2020年の脳卒中約11,000件のケースクロスオーバー研究。夜間の強い暑さで脳卒中リスクが約7%上昇。上乗せ件数は2006〜2012年の年2件から2013〜2020年の年33件へ増加。高齢者と女性でリスクが高い。ドイツでの観察研究であり因果を示すものではない)


瀬戸 茉莉花

看護師として大学病院・公立病院で臨床を経験後、現在も大学教員として17年間、看護学生の教育と生活習慣病予防の研究に携わっています。看護師・保健師。保健学博士。2児の母として、子育てをしながら情報発信中。
人の幸せの根底には、健康があると思っています。健康だからこそ、大切な人と楽しい時間を少しでも多く過ごせる。そのために健康オタク仲間を増やして、みんなで人生の最後まで元気でいたい。そんな思いでこのブログを書いています

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