納豆は体にいいと聞いて、毎日食べている。2パック、3パックと食べる日もある。そんなとき、食べ過ぎにならないのか気になったことはないでしょうか。
先に答えを書いておきます。「1日何パックまで」と国が決めた数字は、今回調べた範囲では見つかりませんでした。ただし、納豆に含まれる大豆イソフラボンには国の目安の上限があり、毎日3パックを続けると、納豆だけでその上限を超える計算になります。
この記事で分かることを、先に4つ書きます。
- 研究では、1日26.2グラムより多く食べる人がひとまとめ。2パック、3パック食べる人だけの結果は分からない
- 大豆イソフラボンの目安の上限は、1日70〜75ミリグラム。納豆1パックで、その半分ほど
- ビタミンKは、健康な人には上限が決められていない
- ワルファリンという薬を飲んでいる方は、量にかかわらず納豆を避ける
納豆は1日何パックまで?国の資料で確かめる
私が納豆を食べるのは、週に1回あるかどうかです。付属のたれとからしをつけるだけで食べています。
毎日何パックも食べる方は、どこまでなら食べ過ぎにならないのでしょうか。国の資料と研究で確かめます。
納豆を1日何パックまで、と決めた国の基準は、今回調べた範囲では見つかりませんでした。手がかりになるものは、3つあります。
- 納豆を食べる量と死亡の関係を調べた、日本人の研究
- 納豆に含まれる大豆イソフラボンの、目安の上限
- 納豆に多いビタミンKと、薬との関係
順に見ていきます。1パックの重さは商品によって違うので、この記事では40グラムの場合と50グラムの場合を計算しました。
- お手元の納豆の容器で、「内容量」を確かめてください。1パックが何グラムかで、この記事の数字の読み方が変わります
- 薬を飲んでいる方は、先に「ワルファリン」の節を読んでください
納豆を食べる人を追いかけた研究で分かること
日本人9万2,915人(45〜74歳)を14.8年にわたって追いかけた研究があります(文献1)。納豆を食べる量で、参加者を5つのグループに分けて比べたものです。
いちばん少ないグループは、納豆を食べない人。いちばん多いグループは、1日26.2グラムより多く食べる人でした。40グラムのパックで考えると、1パックに届かない量が境目です。
結果は、男女で違いました。女性では、納豆を食べる人は、食べない人に比べて、すべての原因による死亡が10〜19パーセント低いという結果です。ただ、食べる量が多いグループほど低くなる、という形ではありませんでした。男性では、はっきりした差は見られていません。
心臓や血管の病気による死亡では、男女とも、納豆を食べる量との関連が見られました。いちばん多く食べるグループでは、食べない人に比べて男性で24パーセント、女性で21パーセント低くなっています。
注意したい点が2つあります。
- これは、食べている人を観察した研究です。納豆を食べたから死亡が減った、とまでは言えません。論文の著者も、調整しきれなかった要因の影響が残っているかもしれないので慎重に解釈すべきだ、と書いています
- いちばん多いグループは、「1日26.2グラムより多い人」をひとまとめにしたもの。1日に2パック、3パックと食べる人だけを取り出した結果は、この研究にはありません
- 毎日は食べていない方へ。女性では、食べる量が少ないグループでも、食べない人より死亡が低い結果でした
- 「たくさん食べるほど体にいい」とは考えないでください。2パック、3パックの人だけを調べた結果は、この研究にはありません
納豆1パックでとれる栄養
国の食品成分表(文献2)の値から、納豆(糸引き納豆)1パックあたりの量を計算しました。
| 40 gの場合 | 50 gの場合 | |
|---|---|---|
| エネルギー | 74 kcal | 92 kcal |
| たんぱく質 | 6.6 g | 8.3 g |
| 食物繊維 | 3.8 g | 4.8 g |
| ビタミンK | 240 µg | 300 µg |
納豆そのものの食塩相当量は、成分表では0グラムです。付属のたれとからしの食塩は、成分表に載っていません。食塩を控えている方は、容器の栄養成分表示を見てください。
目を引くのは、ビタミンKの多さです。国の食事摂取基準(文献3)では、成人のビタミンKの目安量は1日150マイクログラム。40グラムのパック1つで、240マイクログラムになります。
多すぎるのでは、と心配になるかもしれません。同じ基準は、ビタミンKの上限を決めていません。大量にとっても毒性は認められていない、というのが理由です。健康な方が納豆のビタミンKの量を気にする必要は、基準からは読み取れません。
- 食塩が気になる方は、たれの量を減らす方法があります。納豆そのものの食塩相当量は0グラムです
- ビタミンKは、健康な方には上限が決められていません。薬を飲んでいる方は別なので、後の節を読んでください
納豆2パック、3パックは食べ過ぎ?大豆イソフラボンの目安で計算
量を考えるときに手がかりになるのが、大豆イソフラボンです。大豆に含まれる成分で、女性ホルモンに似た形をしており、体の中でさまざまな働きをするとされています。
国の機関の評価(文献4)は、大豆イソフラボンの「安全な一日摂取目安量の上限値」を、1日70〜75ミリグラムとしています。同じ資料によると、納豆に含まれる大豆イソフラボンは、100グラムあたり平均73.5ミリグラム。ここから計算しました。
| 1パック40 gの場合 | 1パック50 gの場合 | |
|---|---|---|
| 1パック | 29.4 mg | 36.8 mg |
| 2パック | 58.8 mg | 73.5 mg |
| 3パック | 88.2 mg | 110.3 mg |
1パックなら、上限値の半分ほど。2パックで上限値に近づき、3パックでは納豆だけで上限値を超えます。ここに、豆腐や味噌、豆乳など、ほかの大豆食品の分が加わります。
では、3パック食べた日は体に悪いのでしょうか。そうとは言えません。評価をした機関は、この上限値について2つのことを強調しています。
- 上限値は、その量を毎日欠かさず、長い期間とり続けた場合の平均としての値である
- 大豆食品からとる量が上限値を超えても、直ちに健康被害に結びつくものではない
上限値の根拠は2つあります。1つは、日本人が大豆食品からとっている量。多くとっている人で1日70ミリグラムほどになり、その量で明らかな健康被害は報告されていない、という考え方です。もう1つは、閉経後の女性が大豆イソフラボンの錠剤を1日150ミリグラム、5年間飲み続けた試験でした。食品ではなく、錠剤の試験です。
評価が問題にしているのも、大豆食品そのものの安全性ではなく、ふだんの食事に大豆イソフラボンを上乗せしてとる場合だと書かれています。
なお、納豆の値は2つの商品を測った平均で、65.6〜81.3ミリグラムの幅がありました。上の表は、目安として見てください。
- 毎日3パック以上を続けている方は、量を見直す材料にしてください。納豆だけで、国の目安の上限を超える計算になります
- たまに多く食べる日があっても、それだけで心配する必要はありません。上限値は、長い期間の平均で見るものです
- 大豆イソフラボンのサプリメントを飲んでいる方は、食事の分と合わせて考えてください
ワルファリンを飲んでいる人は、納豆を避ける
ここまでは、健康な方の話です。ワルファリンという、血液を固まりにくくする薬を飲んでいる方は、話がまったく変わります。
この薬の添付文書(文献5)には、納豆について次のように書かれています。「本剤の作用を減弱するので、左記食品を避けるよう、患者に十分説明すること」。納豆に含まれるビタミンKが、薬の働きを打ち消す方向に働くためです。
書かれているのは「量を減らす」ではなく「避ける」。1パックなら大丈夫、という話ではありません。同じ欄には、クロレラ食品と青汁も並んでいます。
血液を固まりにくくする薬には、ワルファリン以外のものもあります。ほかの薬と納豆の関係は、この記事では調べていません。
- ワルファリンを飲んでいる方は、納豆を食べないでください。量の問題ではありません
- 自分の薬がワルファリンかどうか分からないときは、お薬手帳を持って、主治医か薬剤師に確かめてください
- 納豆を食べたいからといって、自分の判断で薬をやめたり減らしたりしないでください
医療に関する注意
この記事は、国の資料と研究をもとにした一般的な情報です。診断や治療を目的としたものではありません。
- ワルファリンを飲んでいる方は、納豆を避けてください。薬について分からないことは、主治医か薬剤師に相談を
- カリウムを制限されている方は、納豆の量を主治医や管理栄養士に確かめてください。納豆は1パック(40〜50グラム)で、264〜330ミリグラムのカリウムを含みます(文献2をもとに計算)
- 病気の治療で、大豆食品のとり方について指示を受けている方は、その指示を優先してください
- この記事の1パックあたりの数字は、成分表などの値から計算したものです。商品によって実際の量は変わります
まとめ
納豆は、1日何パックまで食べていいのか。
国が決めたパック数は、今回調べた範囲では見つかりませんでした。研究にも、2パック、3パック食べる人だけを調べた結果はありません。大豆イソフラボンの目安の上限から計算すると、1パックは上限値の半分ほど、毎日3パックでは納豆だけで上限値を超えます。
毎日続けるなら、1パックは上限値に余裕のある量、2パックは上限値に近い量です。たまに多く食べる日があっても、それだけで心配はいりません。ワルファリンを飲んでいる方は、量にかかわらず避けてください。
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【使用文献】
- Katagiri R, Sawada N, Goto A, Yamaji T, Iwasaki M, Noda M, Iso H, Tsugane S. Association of soy and fermented soy product intake with total and cause specific mortality: prospective cohort study. BMJ. 2020;368:m34. doi:10.1136/bmj.m34
- 文部科学省. 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年(食品成分データベース). https://fooddb.mext.go.jp/(2026年10月11日閲覧)
- 厚生労働省. 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書. ビタミン(脂溶性ビタミン). https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001316466.pdf(2026年10月11日閲覧)
- 食品安全委員会. 大豆イソフラボンを含む特定保健用食品の安全性評価の基本的な考え方(2006年5月). https://www.fsc.go.jp/hyouka/hy/hy-singi-isoflavone_kihon.pdf/大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A. https://www.fsc.go.jp/sonota/daizu_isoflavone.html(2026年10月12日閲覧)
- ワルファリンK錠1mg「F」電子添文(2025年11月改訂 第3版). 医薬品医療機器総合機構ウェブサイト. https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/670109_3332001F1091_1_14(2026年10月11日閲覧)
※本記事は健康情報の提供を目的としており、診断・治療・医療行為を推奨するものではありません。症状や体調についての具体的なご相談は、医師または薬剤師にご確認ください。


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