味噌汁は体にいい。でも、塩分が気になる。1日に何杯までなら大丈夫なのか、迷う方は多いと思います。
先に答えを書いておきます。1日1杯は、杯数で比べた2つの研究のどちらでも、飲む量が少ない人と差がありませんでした。3杯以上については、研究によって結果が分かれています。
この記事で分かることを、先に4つ書きます。
- 1日1杯は、2つの研究とも差がなかった
- 3杯以上は、胃がんに「なった人」で見ると多く、「亡くなった人」で見ると差がなかった
- 味噌の種類によって、塩分は約2倍違う
- 「味噌汁なら塩分を気にしなくていい」と言えるほどの研究は、今回は見当たらなかった
味噌汁は1日何杯まで?杯数で比べた研究
味噌汁の杯数ごとに、その後の病気を比べた研究があります。日本の24の地域に住む40〜79歳、約4万人を、中央値で14.3年追いかけた研究です(文献1)。調べたのは、胃がんになったかどうか。塩分を多くとることは、胃がんの危険因子の候補とされてきました。
比べる基準は、味噌汁を「月に数回」飲む人です。毎日飲む人は、1日の杯数で分けられました。
- 毎日1杯:1.11倍。はっきりした差はありません
- 毎日2杯:1.42倍。多い傾向ですが、統計的にはぎりぎり差がありません
- 毎日3杯:1.67倍
- 毎日4杯以上:1.64倍
1日1杯なら、月に数回しか飲まない人と比べて、胃がんが多いとは言えませんでした。3杯以上になると、およそ1.6倍です。
この研究にも限界があります。胃がんの危険因子として知られるピロリ菌の感染は、調べていません。食事を調べたのは1988〜90年で、今の味噌汁と塩分の濃さが同じかどうかは分かりません。食べている量を調べて経過を追った観察研究なので、味噌汁が胃がんの原因だと示したわけでもない点に注意が必要です。
私は、味噌汁をなるべく作りたいと思っています。1日1杯飲めればいいのですが、実際にはそこまで作れていません。
- 1日1杯なら、杯数を気にしすぎなくて大丈夫です。2つの研究のどちらでも、差は出ていません
- 毎日でなくても構いません。この研究で比べる基準にしたのも、「月に数回」飲む人でした
「3杯以上」は、研究によって結果が分かれる
同じ全国研究のデータで、違う結果を出している論文があります(文献2)。こちらは約11万人を対象に、胃がんで亡くなった人を数えました。
1日1杯未満の人を基準に、年齢だけをそろえて比べると、3杯以上でも男性で1.17倍、女性で1.24倍。どちらも、はっきりした差は出ていません。
| 文献1 | 文献2 | |
|---|---|---|
| 数えたもの | 胃がんになった人 | 胃がんで亡くなった人 |
| 対象 | 約4万人(がんの発症を追った24の地域) | 約11万人 |
| そろえた条件 | 年齢・性別・喫煙・飲酒・野菜や果物など | 年齢だけ |
| 比べる基準 | 月に数回 | 1日1杯未満 |
| 1日1杯 | 差なし | 差なし |
| 3杯以上 | 約1.6倍 | 差なし |
数えたものも、対象の人も、比べる基準も、そろえた条件も違います。どちらの論文も、結果が分かれた理由は説明していません。この記事でも、理由の推測はしないでおきます。
一方で、1日1杯は、どちらの研究でも差がありませんでした。ここは一致しています。
- 家族で1日3杯以上飲む家庭は、杯数より、1日の塩分の合計で考えてください。目安は次の節に書きました
- 「3杯以上で胃がんになる」とまでは言えません。研究によって結果が分かれています
杯数が増えると、塩分はどのくらい増えるか
日本のある市で、2013年の健診を受けた8,821人の1日の塩分を、尿から推定した研究があります(文献3)。
味噌汁を毎日は飲まない人は9.0グラム、1日1杯の人は9.3グラム、2杯以上の人は9.5グラム。年齢などをそろえる前の平均です。年齢などで調整しても、味噌汁を飲む回数が多いほど塩分が多いという関連は残っていました(80歳以上を除く)。
国の食事摂取基準(文献4)では、1日の食塩の目標量を、男性7.5グラム未満、女性6.5グラム未満としています。高血圧や慢性腎臓病の重症化を防ぐための量は、男女とも6.0グラム未満。この研究の平均は、どのグループでも目標量を上回っていました。
味噌汁1杯の塩分は、味噌の量と1杯の量で大きく変わります。そのため、この記事では1杯あたりの数字は出していません。
- インスタントの味噌汁は、袋やカップの「食塩相当量」を見てください
- 味噌汁の塩分は、ほかの食事と合わせた1日の合計で考えてください
味噌汁は血圧を上げる?
「味噌汁は塩分が多いのに、血圧は上がらない」という話を、聞いたことがあるかもしれません。その元になっている研究を見ておきます。
50〜81歳の527人を調べた研究(文献5)では、味噌汁を飲む頻度と血圧に関連はありませんでした。頻度の高い人ほど、心拍数は低い傾向です。ただ、これは同じ時点で測った横断研究で、実際の塩分の量は測っていません。
40人を2つのグループに分けて8週間比べた試験(文献6)では、味噌をとったグループで、昼間の血圧は変わらず、夜間の血圧だけが下がりました。もっとも、使ったのは特定の2種類を組み合わせた味噌で、味噌メーカーが製造・提供したものです。一般の味噌汁に当てはまるかは分かりません。
どちらも、「味噌汁なら塩分を気にしなくていい」と言えるほどの研究ではありません。
- 血圧が気になる方は、味噌汁も1日の塩分の中に数えてください
- 「血圧が下がるから」と、杯数を増やす根拠はありません
味噌の種類で、塩分は約2倍違う
味噌やだしは地域によって違うので、面白いと思っています。効果も違うのだろうか、と気になることもあります。
味噌には、米みそ・麦みそ・豆みそなどの種類があります。国の食品成分表(文献7)で、100グラムあたりの食塩相当量を確かめました。
- 米みそ(甘みそ):6.1グラム
- 米みそ(淡色辛みそ):12.4グラム
- 米みそ(赤色辛みそ):13.0グラム
- 麦みそ:10.7グラム
- 豆みそ:10.9グラム
甘みそと赤色辛みそでは、塩分が約2倍違います。同じ1杯でも、使う味噌で塩分は変わるということです。
一方、地域の味噌によって病気のなりやすさが違うのかを比べた研究は、今回の検索では見つかりませんでした。味噌の選び方は、別の記事にまとめています。
- いつもの味噌の「食塩相当量」を、一度表示で確かめてください
- 味噌を替えたときは、塩分も変わると考えてください
発酵大豆として見た味噌汁
味噌は、大豆を発酵させた食品です。日本の45〜74歳、約9万人を14.8年追いかけた研究(文献8)では、納豆と味噌を合わせた発酵大豆を多くとる人で、総死亡が男女とも約1割低くなっていました。一方で、大豆製品全体の量では、はっきりした関連は出ていません。
味噌だけで見ると、女性では、いちばん少ないグループ以外はどの量でも約1割低い、という結果です。ただ、量が増えても、低さはほぼ同じでした。男性では、中くらいの量のグループで低く、いちばん多いグループでは差が見られませんでした。
たくさん飲むほど良い、という形ではありません。これも観察研究で、発酵大豆をよくとる人の暮らし方全体が影響している可能性もあります。
- 味噌汁を作れない日は、納豆など別の発酵大豆でも構いません。この研究で死亡が少なかったのは、納豆と味噌を合わせた量が多い人でした
- 健康のために、味噌汁の杯数を増やす必要はありません
医療に関する注意
この記事は、査読を受けた論文と国の資料をもとにした一般的な情報です。診断や治療を目的としたものではありません。
- 高血圧や慢性腎臓病で塩分を制限されている方は、主治医や管理栄養士の指示を優先してください。国の基準でも、重症化を防ぐための食塩は1日6.0グラム未満とされています(文献4)
- この記事で紹介した研究の多くは観察研究で、味噌汁が病気を防ぐ、または病気の原因になることを示したものではありません
まとめ
味噌汁は、1日何杯まで飲んでいいのか。
杯数で比べた2つの研究では、1日1杯は、飲む量が少ない人と差がありませんでした。3杯以上は研究によって結果が分かれるので、たくさん飲む家庭は、1日の塩分の合計で見てください。
毎日作れなくても大丈夫です。飲める日に、1杯。それが、この記事の答えです。
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【使用文献】
- Umesawa M, Iso H, Fujino Y, Kikuchi S, Tamakoshi A; JACC Study Group. Salty Food Preference and Intake and Risk of Gastric Cancer: The JACC Study. J Epidemiol. 2016;26(2):92-97. PMID: 26477994
- Tokui N, Yoshimura T, Fujino Y, et al. Dietary habits and stomach cancer risk in the JACC Study. J Epidemiol. 2005;15(Suppl 2):S98-S108. PMID: 16127240
- Wakasugi M, Kazama JJ, Narita I. Associations between the intake of miso soup and Japanese pickles and the estimated 24-hour urinary sodium excretion: a population-based cross-sectional study. Intern Med. 2015;54(8):903-910. PMID: 25876570
- 厚生労働省. 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書. ミネラル(多量ミネラル). https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001316468.pdf(2026年10月5日閲覧)
- Ito K, Miyata K, Mohri M, Origuchi H, Yamamoto H. The Effects of the Habitual Consumption of Miso Soup on the Blood Pressure and Heart Rate of Japanese Adults: A Cross-sectional Study of a Health Examination. Intern Med. 2017;56(1):23-29. PMID: 28049996
- Kondo H, Sakuyama Tomari H, Yamakawa S, et al. Long-term intake of miso soup decreases nighttime blood pressure in subjects with high-normal blood pressure or stage I hypertension. Hypertens Res. 2019;42(11):1757-1767. PMID: 31371810
- 文部科学省. 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年(食品成分データベース). https://fooddb.mext.go.jp/(2026年10月5日閲覧)
- Katagiri R, Sawada N, Goto A, et al. Association of soy and fermented soy product intake with total and cause specific mortality: prospective cohort study. BMJ. 2020;368:m34. PMID: 31996350
【資金源・利益相反について】文献6で使われた味噌は、味噌メーカーが製造・提供したもので、著者にはそのメーカーに所属する人が含まれています(試験の実施・解析・執筆には関わっていない、と記載されています)。試験の設計は、別の民間企業が行いました。
文献1・文献3・文献8は、国や公的な研究機関の研究費で行われています。文献2については、利益相反の開示を確認できませんでした。
※本記事は健康情報の提供を目的としており、診断・治療・医療行為を推奨するものではありません。症状や体調についての具体的なご相談は、医師または薬剤師にご確認ください。


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