冬に体重は何キロ増える?平均0.5kgと増やさない量り方を保健学博士が解説

日なたのデッキに置いた白い体重計とマフラー 冬

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冬になると、私は食欲が増えます。

むくみは、夏や梅雨のころほどは感じません。ただ、冷えがひどいときは、触ると結構むくみを感じます。

では、体重は実際に何キロ増えているのか。海外で成人の体重を秋から春まで量った研究では、秋から冬で平均約0.5キロでした。「2キロ以上」とよく言われる数字より、ずっと少ない値です。

気になるのは、この0.5キロが春や夏になっても減っていなかったことです。研究で分かったことは、次の5つでした。

  • 秋から冬に増える体重は、平均約0.5キロ。通説の「2キロ以上」より少ない
  • 増えやすいのは年末年始。1月2日ごろがいちばん重かった
  • 増えた分は、春や夏になっても戻らなかった
  • 冬は体を動かす量が1年でいちばん少なく、秋は春より食べる量が多い
  • 体重を週2回以上量って記録するなど、3つを組み合わせたグループは、年明けまで増えなかった

冬に体重は何キロ増える?研究では約0.5キロ

研究で量った冬の増え方は、平均約0.5キロでした。もとになったのは、海外の成人195人の体重を、秋から翌年の春まで4回量った研究です(文献1)。

年末年始の6週間ほどで増えたのは、平均0.37キロ。9月から3月までを通しても、平均0.48キロ。論文の書き出しには「年末年始に2.27キロ(5ポンド)以上増える」という通説が引かれていますが、量ってみると、それよりずっと少なかったのです。

とはいえ、全員が0.5キロだったわけではありません。年末年始の間に3パーセント以上増えた人が、もとの体重の区分によらず、1割前後いました。

もう少し大きく増えた研究もあります。ヨーロッパの3か国で、スマホにつながる体重計を使い、1,062人の体重を年末年始の前後で追った研究です(文献4)。こちらでは年末年始に平均1.35パーセント増え、キロにすると約1.1キロでした。

この研究の参加者は、過去1年で体重を5パーセント以上減らし、それを保とうとしていた人たちです。論文も、一般の人を代表するものではない、と断っています。

日本人ではどうか。運動の習慣がない18〜22歳の女子学生31人に、5月から翌年の1月まで、毎日家で体重を量ってもらった研究があります(文献8)。秋から冬にかけて、体重は平均0.52キロ増えていました。ただし、統計的にははっきりした差とまでは言えない結果でした。この間、1日の歩数は、春の7,492歩から冬は6,152歩に減っていました。

人数が少なく、若い女性だけの研究なので、40代以上の方にそのまま当てはまるとは言えません。それでも、日本でも冬に体重が増え、歩く量が減る方向の結果でした。

男女や年齢で違うのか。季節による体重の変化を1年かけて見た研究(文献2)では、男性や中年の人で、季節による変化が大きくなっていました。いちばん大きかったのは40代で、1年の中の体重の幅は0.66キロでした。ヨーロッパの研究(文献4)では、年末年始の増え方に、男女や年齢ではっきりした差は見られませんでした。

実践ポイント
  • 冬の増え方の目安は、平均で約0.5キロ
  • 2キロ、3キロと増えているなら、平均よりかなり大きい増え方です。この記事の後半にある量り方を、今年の冬から試してみてください

冬に体重が増えやすい時期はいつ?年末年始と週明け

増えやすいのは、12月の初めから1月の初めにかけてです。

ヨーロッパの研究(文献4)では、12月の第1週がいちばん軽く、そこから増えて、1月2日がいちばん重くなっていました。最初に紹介した研究(文献1)でも、9月から3月までに増えた0.48キロのうち、0.37キロは年末年始の6週間ほどのものでした。

1週間の中でも、体重は動いています。同じヨーロッパの研究では、月曜日がいちばん重く、金曜日がいちばん軽いという形が、男女、国、年齢を問わず見られました。週の中の差は約0.35パーセントで、キロにすると約0.3キロ。60歳以上では、この週の差が小さくなっていました。

実践ポイント
  • 気をつける時期は、12月の初めから1月の初め
  • 月曜日に量ると、ふだんより重く出やすい。比べるときは、同じ曜日どうしで比べる

冬に増えた体重は春に戻る?研究では戻らなかった

冬に増えた分は、夏を越しても戻っていませんでした。

最初の研究(文献1)は、3月のあと、その年の9月にも体重を量っています。3月から9月までの変化は平均0.21キロで、はっきりした増減はありませんでした。

ヨーロッパの研究(文献4)でも、1月から3月にかけて体重は減っていきましたが、元には戻りきらず、年末年始の前より少なくとも0.35パーセント重いままでした。

最初の研究の論文では、この戻らない分が毎年積み重なることが、大人になってから体重が増えていく理由の一つになりうる、と述べられています。

実践ポイント
  • 「暖かくなれば戻る」と、あてにしないでください
  • 仮に毎年0.5キロずつ増え続けたら、10年で5キロです

0.5キロでも気にしたほうがいい?大人になってからの体重増加と病気

1年に0.5キロでも、積み重なれば大きな差になります。大人になってから体重が増えた人ほど、そのあと病気が多かったという研究があります。

海外の看護師の女性9万2,837人と、医療職の男性2万5,303人を調べた研究です(文献5)。若いころ(女性は18歳、男性は21歳)から55歳までの体重の変化を見て、55歳からあとの病気を追いました。この間に増えた体重は、平均で女性12.6キロ、男性9.7キロ。

体重が2.5キロ以上10キロ未満増えた人と、ほぼ同じ体重を保った人を比べると、2型糖尿病になった人は、10万人を1年追った数に直して、女性で207人と110人、男性で258人と147人でした。高血圧も、体重が増えた人のほうが多くなっていました。

論文の著者らは、少しずつの体重の増加はすぐに結果が表れないため、本人も医師も見過ごしやすい、と書いています。

これは体重と病気の関係を見た研究で、体重が増えたことが病気の原因だとまでは言えません。若いころの体重は本人が思い出して答えた値で、参加者のほとんどは白人の医療職です。

実践ポイント
  • 冬の0.5キロは、1年では小さくても、積み重なると大人になってからの体重増加になります
  • 健診で体重の数字を、前の年と比べてみてください

冬に体重が増えるのはなぜ?動く量と食べる量

冬は動く量が減り、秋は食べる量が増える季節です。海外の20〜70歳の593人を、1年間、3か月ごとに調べた研究(文献2)で、季節によって次のような差がありました。

  • 体を動かす量は、冬がいちばん少なく、春がいちばん多い
  • 1日にとるエネルギーは、秋が春より86キロカロリー多い
  • 体重は1年で約0.5キロの幅で変わり、冬にいちばん重い

この研究では、時期にもずれがありました。食べる量がいちばん多かったのは11月ごろ、体を動かす量がいちばん少なかったのは12月、そして体重がいちばん重かったのは2月。食べる量が増えてから、体重のピークが来るまでに、3か月ほどの開きがあったことになります。

秋に食べる量が増え、冬に動く量が減る。この2つが重なって冬の体重が増えている可能性がある、というのが論文の見立てです。

もっとも、季節による差そのものは小さく、生活習慣と体重の関係を考えるうえで、季節は大きな要因ではない、とも書かれています。

冷えたときのむくみについては、論文のデータベースで探しましたが、一般の人で、冬にむくみが増えることや、冷えとむくみの関係を確かめた研究は見つけられませんでした。体重は、体の中の水分などでも日々変わります(節7)。むくみを感じる日の体重は、それだけで判断しないほうがよさそうです。

実践ポイント
  • 冬も、秋と同じくらい体を動かせているか、振り返ってみてください
  • 秋は、春より食べる量が多くなっていました。年末年始より前の、秋のうちから食べる量を見直してください

何をどのくらいすればいい?週2回以上、同じ条件で量る

週2回以上、同じ条件で量って記録する。これを含む3つを伝えたグループは、年明けまで体重が増えませんでした。

もとになった試験(文献3)では、海外の成人272人を、くじ引きで2つのグループに分け、11〜12月から翌年の1〜2月まで追いました。

片方のグループに伝えたのは、次の3つです。

  • 体重を少なくとも週2回、できれば毎日量って記録し、変化を振り返る(毎日同じ時間に、同じくらいの服装で)
  • 体重管理のための10のコツ
  • 年末年始の食べ物や飲み物のカロリーを使い切るのに、どのくらい運動が必要か

目標は、年末年始の前の体重から0.5キロ以内。これを「上限の体重」として、体重を書きこむ記録表に書いて渡していました。0.5キロの幅は、1日の中で体重が自然に変わる分を見込んだものです。カロリーの情報は、たとえば「ミンスパイ(年末の焼き菓子)1個を使い切るには、走って21分」「ホットワインの小さなグラス1杯なら、歩いて32分」という形でした。

もう片方には、健康的な生活についてのちらしを渡しただけでした。

年明けに量ると、3つを伝えたグループは平均0.13キロ減、ちらしのグループは平均0.37キロ増。差は0.49キロでした。

年明けの時点で、週2回以上量っていた人は、3つを伝えたグループで85パーセント、ちらしのグループで20パーセントでした。

ただし、効果が出たのは3つを組み合わせたときです。上限の0.5キロ以内に収まった人の割合や、体脂肪率には、はっきりした差は出ていません。参加者の8割近くは女性でした。

では、量ることだけで効くのか。ランダム化比較試験をまとめた研究(文献6)では、量ることだけを勧めた試験は1本しかなく、効果ははっきりしませんでした。一方、やせるためのプログラムに、量ることと自分で管理する工夫を加えた試験4本では、平均1.7キロ多く減っていました。

同じまとめでは、毎日量る試験と、毎日より少ない回数の試験とで、はっきりした差はありませんでした。また、量った結果を誰かに報告する仕組みがある試験のほうが、減り方が大きくなっていました。なお、これは「やせる」ための研究で、増えるのを防ぐ研究ではありません。

実践ポイント
  • 年末年始の前の体重を量り、その0.5キロ上を「上限の体重」として書いておく
  • 週2回以上、できれば毎日量る。毎日が負担なら、週2回でかまいません
  • 量った数字は記録して、増えていないか見返す
  • 量るだけでなく、食べる量と動く量も一緒に見直す
  • 始めるなら、年末年始の前から。試験も11〜12月に始めています

体重の量り方:朝、トイレのあと、同じ曜日で比べる

朝起きてトイレをすませたあと、薄着で量る。ヨーロッパの研究(文献4)で、参加者に伝えられていた量り方です。年末年始の試験(文献3)では、毎日同じ時間に、同じくらいの服装で量るよう伝えていました。

条件をそろえるのは、体重が1日の中でも、日によっても変わるからです。ヨーロッパの研究の論文は、体の中の水分などによるふだんの変動で、1回だけ量った体重には誤差が出る、と書いています。1回の数字で一喜一憂せず、何回か量った流れで見るほうが確かです。

毎日量ると、かえってつらくならないか。29の検証をまとめた研究(文献7)では、自分で量ることと、気分の落ち込みや不安、体についての考え方、食べ方の乱れとの間に、関連は見られませんでした。

自尊感情などの心の働きとは、小さなマイナスの関連がありました。若い人、標準体重の人、量り始めて間もない人などで、マイナスの関連が出やすかったとされています。数字を見るのがつらくなったら、回数を週2回に減らしてかまいません。

実践ポイント
  • 朝、トイレのあと、薄着で量る
  • 比べるのは、同じ曜日・同じ条件の数字どうし
  • 1回の増減ではなく、何回か量った流れを見る

記録は、いま使っている体重計と紙でもできます。

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医療に関する注意

この記事は、査読を受けた論文をもとにした一般的な情報です。診断や治療を目的としたものではありません。

  • 持病の治療中で、体重やむくみについて主治医から指示を受けている方は、その指示を優先してください
  • 急に体重が増えた、むくみがひどいなど、いつもと違うときは、医療機関に相談してください
  • この記事で紹介した研究の多くは、海外の成人のものです。日本人の研究は、若い女性31人の小さな研究だけでした
  • 体重を減らすことを目的とした記事ではありません。冬の体重の増加を防ぐ、という話です

まとめ

秋から冬に増える体重は、研究では平均約0.5キロでした。小さな数字ですが、春や夏になっても戻っていません。大人になってから少しずつ増えた体重は、そのあとの病気の多さとも関係していました。

冬は体を動かす量が減り、その前の秋には、春より食べる量が増えています。年末年始の前から、週2回以上、朝の同じ条件で体重を量って記録する。試験でこの方法を含めたグループは、年明けの時点で増えていませんでした。

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【使用文献】

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瀬戸 茉莉花

看護師として大学病院・公立病院で臨床を経験後、現在も大学教員として17年間、看護学生の教育と生活習慣病予防の研究に携わっています。看護師・保健師。保健学博士。2児の母として、子育てをしながら情報発信中。
人の幸せの根底には、健康があると思っています。健康だからこそ、大切な人と楽しい時間を少しでも多く過ごせる。そのために健康オタク仲間を増やして、みんなで人生の最後まで元気でいたい。そんな思いでこのブログを書いています

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※本記事は健康情報の提供を目的としており、診断・治療・医療行為を推奨するものではありません。症状や体調についての具体的なご相談は、医師または薬剤師にご確認ください。

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