超加工食品は体に悪い?病気・死亡リスクとの関係を保健学博士が解説

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「超加工食品(ちょうかこうしょくひん)」という言葉を、最近よく見かけるようになりました。スナック菓子や清涼飲料、菓子パン、加工肉などがその代表です。これらを多くとる食生活が、さまざまな病気や死亡リスクの高さと関連する、という研究が相次いで報告されています。とはいえ「加工食品はすべて悪」という単純な話でもありません。この記事では、超加工食品とは何か、健康とどう関わるのかを、査読論文をもとに整理します。

超加工食品とは何か

食品を加工の程度で分ける「NOVA分類」という考え方があります。これは食品を、①未加工・最小限の加工(野菜・魚・卵・米など)、②調理に使う素材(油・塩・砂糖)、③加工食品(缶詰・チーズ・パンなど)、④超加工食品、の4つに分けるものです(Monteiro CA, et al. Public Health Nutr. 2019)。

このうち超加工食品は、家庭の台所ではふつう使わない原材料(分離した糖・油脂・でんぷん、各種添加物など)から、工業的な工程で作られた食品を指します。スナック菓子、清涼飲料、菓子パン・菓子類、加工肉(ソーセージ・ハムなど)、インスタント麺、調理済み冷凍食品などが当てはまります。

著者の視点:「加工食品=悪」ではありません。手作りの料理に使う油や塩、豆腐やチーズのような食品まで避ける必要はない。問題になりやすいのは“超”加工の部分です。ここを切り分けて考えることが、振り回されないコツだと思います。

実践ポイント:まずは自分がよく食べるものを、この4分類でざっくり眺めてみてください。清涼飲料・菓子パン・スナックが多いなら、そこが見直しの入り口です。

病気・死亡リスクとの関連

2024年に報告された大規模なレビュー(多数のメタ解析を統合したアンブレラレビュー)が、大きな注目を集めました。超加工食品の摂取が多いほど、心血管疾患による死亡(リスク比1.50)、2型糖尿病、不安、うつなどのリスクが高い方向に関連し、総死亡(リスク比1.21)とも関連したと報告されています(Lane MM, et al. BMJ. 2024)。個別のコホート研究でも、スペインの約2万人を追った調査で、超加工食品を1日1食ぶん多く食べるごとに総死亡リスクが18%高いという用量反応の関係が示されています(Rico-Campà A, et al. BMJ. 2019)。

ただし、この研究には注意点もあります。統合されたのは主に観察研究で、根拠の確実性(GRADE)は全体として低い〜非常に低いものが多い、と著者ら自身が述べています。「超加工食品を食べると必ず病気になる」と証明されたわけではなく、「多い食生活は好ましくないアウトカムと関連する」という段階です。

著者の視点:数字だけ見ると強いインパクトですが、私が重視するのは著者らの正直な但し書きです。確実性は高くない。それでも、これだけ多くのアウトカムで一貫して“悪い方向”と関連しているのは、見過ごせない事実だと受け止めています。

実践ポイント:「怖がって極端に走る」のではなく、「量と頻度を少し減らす」で十分です。まずは毎日の清涼飲料や菓子パンを、週の回数で数えてみましょう。

すべてが同じように悪いわけではない

「超加工食品」はとても幅広いカテゴリーで、中身によってリスクとの関係は一様ではありません。米国の医療従事者・看護師あわせて約11万人を数十年追った研究では、超加工食品の摂取が多い人ほど総死亡がやや高い一方、その関連はサブグループで差がありました。とくに加工肉(肉や魚の調理済み加工品)や、砂糖・人工甘味料入りの飲料が強く関連する一方、全粒粉のパンやシリアルなど、必ずしも悪い方向を示さないものもあったと報告されています(Fang Z, et al. BMJ. 2024)。

「超加工=一律に毒」ではありません。まず距離を置きたいのは、加工肉と甘い飲料です。ここを優先して減らすほうが、現実的で効果も出やすいと考えられます。

著者の視点:この“一律ではない”という視点は、極端な食事制限に走らないために大切です。全粒粉パンや無糖ヨーグルトまで敵視すると、続かないうえに栄養も偏ってしまう。ねらいを絞ることが、長く続けるコツだと思います。

実践ポイント:優先度は「加工肉・砂糖入り飲料 > その他」。まずこの2つの頻度を減らし、全粒粉パンや無糖ヨーグルトなどは無理に断つ必要はない、と考えて大丈夫です。

“食べ過ぎ”を招く:唯一の介入試験

関連だけでなく、因果の手がかりを示した研究もあります。アメリカ国立衛生研究所(NIH)が行った入院下のランダム化比較試験では、20人の成人に、超加工食の食事と、加工の少ない食事を2週間ずつ食べてもらいました。カロリー・糖・脂質・食物繊維などを同じに揃えたうえで、好きなだけ食べてよい条件にしたのがポイントです。

結果、超加工食の期間では1日あたり約500kcal多く食べてしまい、2週間で体重が約0.9kg増加しました。加工の少ない食事の期間では、逆に約0.9kg減っています(Hall KD, et al. Cell Metab. 2019)。中身を揃えても“超加工”というだけで食べ過ぎを招く、という因果の可能性を示した重要な研究です。

著者の視点:観察研究が並ぶこの分野で、条件を厳密に揃えた入院試験の結果は貴重です。20人と小規模ですが、「超加工食品は、意識しなくても余分に食べてしまう」という実感に、科学的な裏づけを与えてくれます。

実践ポイント:超加工食品は「気づかないうちに食べ過ぎる」前提で付き合うのが安全です。袋のまま食べず小皿に出す、大容量を買わない、といった“量が見える工夫”が効きます。

なぜ超加工食品は食べ過ぎになりやすいのか

理由はいくつか考えられています。やわらかく飲み込みやすいため早食いになりやすいこと、カロリー密度が高いのに満腹感が得られにくいこと、甘味・塩味・脂の組み合わせが「もっと食べたい」を刺激しやすいこと、食物繊維が少なく血糖が上がりやすいことなどです。

一つひとつは小さくても、こうした特徴が重なることで、同じ見た目のカロリーでも実際の摂取量が増えやすくなる、と考えられています。

著者の視点:「意志が弱いから食べ過ぎる」のではありません。食べ過ぎるように作られている面がある、と知るだけで、自分を責めずに対策へ向かえます。

実践ポイント:早食いになりやすい食品ほど、ひと口を小さく・よく噛む。食物繊維の多い食品(野菜・海藻・豆・もち麦など)を先に食べると、食べ過ぎと血糖の急上昇の両方を抑えやすくなります。

どう減らす?完全排除ではなく“置き換え”

超加工食品をゼロにするのは現実的ではありませんし、その必要もありません。大切なのは、頻度の高いものから“加工の少ない選択肢”に置き換えていくことです。

清涼飲料は水やお茶に。菓子パンの朝食は、ごはんと味噌汁に。加工肉に偏りがちなら、魚や大豆製品を増やす。白い主食にもち麦を混ぜる。こうした小さな置き換えの積み重ねが、超加工食品の割合を自然に下げていきます。

著者の視点:完璧を目指すと続きません。私がすすめてきたのは、「まず1つだけ置き換える」こと。最も頻度の高い超加工食品を1種類やめる・減らすだけでも、食生活の質は目に見えて変わります。

実践ポイント:手始めに、飲み物を見直すのが効果的です。次に主食と間食。〔もち麦〕や〔野菜の多い食事〕を、置き換え先として活用してください。

まとめ

超加工食品は、家庭にない原材料と工業的な工程で作られた食品で、多くとる食生活は心血管疾患・2型糖尿病・うつ・総死亡などのリスクの高さと関連すると報告されています。関連の確実性はまだ高くありませんが、条件を揃えた介入試験では“食べ過ぎ”を招くことも示されました。大事なのは、ゼロにすることではなく、頻度の高いものから加工の少ない食品へ置き換えること。まずは飲み物から、始めてみてください。

医療に関する免責事項

本記事は、査読済みの学術論文をもとにした一般的な健康情報の提供を目的としており、特定の診断・治療・予防を推奨したり、医師その他の医療専門職による助言に代わるものではありません。紹介した研究には観察研究が多く含まれ、関連を示すものであり、すべての方に同じ結果が当てはまるわけではありません。持病のある方、食事療法を受けている方、体重や食事について不安のある方は、食生活を大きく変える前に主治医や管理栄養士にご相談ください。

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主な参考資料

  1. Lane MM, Gamage E, Du S, et al. Ultra-processed food exposure and adverse health outcomes: umbrella review of epidemiological meta-analyses. BMJ. 2024;384:e077310. DOI: 10.1136/bmj-2023-077310. PMID: 38418082
  2. Rico-Campà A, Martínez-González MA, Alvarez-Alvarez I, et al. Association between consumption of ultra-processed foods and all cause mortality: SUN prospective cohort study. BMJ. 2019;365:l1949. DOI: 10.1136/bmj.l1949. PMID: 31142450
  3. Fang Z, Rossato SL, Hang D, et al. Association of ultra-processed food consumption with all cause and cause specific mortality: population based cohort study. BMJ. 2024;385:e078476. DOI: 10.1136/bmj-2023-078476
  4. Hall KD, Ayuketah A, Brychta R, et al. Ultra-Processed Diets Cause Excess Calorie Intake and Weight Gain: An Inpatient Randomized Controlled Trial of Ad Libitum Food Intake. Cell Metab. 2019;30(1):67-77.e3. DOI: 10.1016/j.cmet.2019.05.008. PMID: 31105044
  5. Monteiro CA, Cannon G, Levy RB, et al. Ultra-processed foods: what they are and how to identify them. Public Health Nutr. 2019;22(5):936-941. DOI: 10.1017/S1368980018003762

瀬戸 茉莉花

看護師として大学病院・公立病院で臨床を経験後、現在も大学教員として17年間、看護学生の教育と生活習慣病予防の研究に携わっています。看護師・保健師。保健学博士。2児の母として、子育てをしながら情報発信中。
人の幸せの根底には、健康があると思っています。健康だからこそ、大切な人と楽しい時間を少しでも多く過ごせる。そのために健康オタク仲間を増やして、みんなで人生の最後まで元気でいたい。そんな思いでこのブログを書いています

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