野菜ジュースは何色がいい?赤・緑・紫の違いを保健学博士が比較解説

食事・栄養

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野菜ジュースを選ぶとき「赤と緑、どちらがいいの?」と迷う方は多いと思います。結論から言うと、色によって含まれる成分が異なり、それぞれ異なる健康効果が期待されます。ただし「1色だけが最強」ではなく、複数色を分散して摂る方が合理的です。

赤・オレンジ系はカロテノイド、緑系は緑葉野菜の栄養素、紫系はアントシアニンをそれぞれ意識しやすい選択肢です。この記事では、色ごとの違いをエビデンスとともに、保健学博士・看護師の視点から解説します。

なお、野菜・果物の摂取量が多いほど心血管疾患・がん・全死亡リスクが低下することは、95研究を含む系統的レビュー・メタ解析で示されており、特に1日800g程度までは有益性が確認されています(文献1)。

▶著者視点:この研究が示しているのは「特定の色の勝利」ではなく、「十分量と多様性」の重要性です。つまり、この研究は「どの色が最強か」を示したものではなく、「色に関係なく、量と多様性が大切」ということを示しています。


なぜ「色」で違いが出るのか

野菜の色は、主に含まれる機能性成分の違いを反映しています。色の違いは見た目の問題ではなく、栄養学的な違いです。

簡単に整理すると以下のようになります。

代表的な成分主な働き
赤・オレンジ系βカロテン・リコピン抗酸化・免疫・粘膜保護
緑系葉酸・ビタミンK・カリウム心血管・骨・血圧
紫系アントシアニン血管保護・抗酸化・視機能

それぞれ詳しく見ていきます。


赤・オレンジ系:「カロテノイド」を意識しやすい

赤・オレンジ系の野菜ジュースには、にんじん由来のβカロテンやトマト由来のリコピンなど、カロテノイドが豊富に含まれています。

血清カロテノイド濃度と死亡リスクの関係を調べた2023年のZhuらの研究(高血圧成人を対象)では、カロテノイド濃度が高い人ほど全死亡・心血管死亡リスクが低い関連が報告されています(文献2)。

βカロテンの主な働き:

  • 体内でビタミンAに変換され、粘膜・皮膚・免疫を支える
  • 脂溶性の抗酸化物質として細胞膜を酸化ダメージから守る

リコピンの主な働き:

  • 強力な抗酸化作用を持つカロテノイドの一種
  • トマトを加熱・加工すると吸収率が上がりやすいとされています。ヒト試験では、加熱処理したトマトジュースを摂取した場合のみ血清リコピン濃度の有意な上昇が確認されており(文献5)、市販の加工ジュースでの摂取は吸収効率の面で合理的な選択です

▶著者視点:「赤やオレンジのジュースを飲めば死亡リスクが下がる」と直結させるのは不正確です。ただし、カロテノイドを食事に取り入れやすくする手段としてジュースは有効な選択肢です。脂溶性成分のため、食事と一緒に飲むと吸収率が上がります。


緑系:「緑葉野菜の栄養価」を取り込みやすい

緑系の野菜ジュースには、ほうれん草やケールなどの緑葉野菜由来の葉酸・ビタミンK・カリウム・ポリフェノールが含まれています。

2021年のOjagbemiらの系統的レビュー・メタ解析では、緑葉野菜の摂取量が多いほど心血管疾患の発症が少ない関連が示され、心血管疾患全般の発症低下と関連しうると結論づけられています(文献3)。

緑系ジュースで補いやすい成分:

  • 葉酸:葉酸の摂取が脳卒中リスク低下と関連することが報告されています(文献6)。細胞の生成・DNA合成にも関与しており、妊娠中や貧血が気になる方に特に重要な成分です
  • ビタミンK:骨の健康と血液凝固に関与
  • カリウム:カリウムの摂取が血圧低下と関連することが報告されています(文献7)。塩分が多い食事をする人に特に意識してほしい成分です

▶著者視点:緑系ジュースは「緑葉野菜の摂取を増やす入口」として使いやすい選択肢です。ただし、研究の対象は食品としての野菜であり、ジュースを野菜の完全な代替とみなすのは避けてください。食物繊維は加工の過程で失われやすいため、ジュース+食事での野菜摂取を組み合わせるのが現実的です。


紫系:「アントシアニン」を意識しやすい

紫系の野菜ジュースや果菜系ブレンドには、紫キャベツやベリー類由来のアントシアニンが含まれています。

2019年のKimbleらの系統的レビュー・メタ解析では、アントシアニン摂取は冠動脈疾患および心血管死亡リスク低下と関連すると報告されています(文献4)。紫系は「血管を意識した選択肢」として一定の合理性があります。

アントシアニンの主な働き:

  • 強力な抗酸化作用で血管の酸化ダメージを抑える
  • 血管内皮の機能を保護する可能性が研究されている
  • 視機能との関連:動物実験やin vitro研究で視機能との関連が報告されており、ヒトでの臨床的な効果については引き続き研究が進められています(文献8)

▶著者視点:紫系は魅力的ですが、日常的に継続しやすいかは別問題です。価格・入手しやすさ・味の好みも含めて選ぶことが、長く続けるうえで重要です。「体にいいから」と無理に続けるより、飲みやすいものを選んで習慣化する方が実際の健康につながります。

では、何色を選べばよいのか

赤・オレンジ系、緑系、紫系のいずれにも異なる強みがあります。ただし重要なのは、どの研究も「1色だけを続ければよい」とは示していないことです。

総摂取量・多様性・食事全体の質が前提であり、結論はシンプルです。

「最適な1色」を探すより、複数色を偏らず取り入れる方がエビデンスに沿っています。


実生活での選び方:タイプ別ガイド

忙しくて毎日考えられない人

2〜3色以上の原料が入った無糖または低糖のブレンドタイプを選ぶのが現実的です。原材料表示に「にんじん・トマト・ほうれん草」など複数の野菜が入っているものを目安にしてください。

健康意識が高く、目的別に選びたい人

緑系をベースにしつつ、赤・オレンジ系を組み合わせると栄養の偏りを減らしやすくなります。週単位でローテーションするのも一つの方法です。

美容・エイジングケアも意識したい人

紫系を補助的に加えるのは合理的ですが、紫だけに偏る必要はありません。抗酸化を意識するなら赤・オレンジ系との組み合わせがおすすめです。

血圧・心血管が気になる人

緑系(カリウム補給)と紫系(アントシアニン)を意識して取り入れると、食事からのサポートとしては合理的な選択です。ただし治療中の方は必ず主治医に相談してください。

野菜ジュースを選ぶときの3つのポイント

色を意識する前に、まず以下を確認してください。

① 無糖または低糖を選ぶ 果汁入りや加糖タイプは糖質が多く、健康効果が相殺される可能性があります。原材料表示に「砂糖」「果糖ブドウ糖液糖」が入っていないものを選びましょう。

② 食事と一緒か食後に飲む カロテノイドなど脂溶性成分は、脂質と一緒に摂ると吸収率が上がります。空腹時より食事と組み合わせる方が効率的です。

③ 1日200ml程度を目安にする ジュースはあくまで補助です。野菜そのものの摂取も続けることが大前提です。

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よくある質問

Q. 毎日同じ色でいいですか? 同じ色を毎日飲んでも問題はありませんが、色を変えることで異なる成分を補いやすくなります。週に2〜3色をローテーションする方法が継続しやすくおすすめです。

Q. 朝と夜、どちらに飲むのがいいですか? 特定の時間帯に明確なエビデンスはありませんが、食事と一緒に飲むと脂溶性成分の吸収率が上がるため、朝食や昼食時が取り入れやすいタイミングです。

Q. 野菜嫌いの子どもに飲ませてもいいですか? 補助としては有効ですが、加糖タイプは避け、少量から始めることをおすすめします。食物繊維は失われているため、野菜を食べる習慣も並行して作っていくことが大切です。

Q. 市販のミックス野菜ジュースと単色ジュース、どちらがいい? 複数の野菜が入ったミックスタイプの方が多様な成分を一度に摂れるため、日常使いには現実的です。単色タイプは特定の成分を集中的に補いたいときに向いています。

医療免責事項

本記事は健康に関する一般的な情報提供を目的としており、医学的な診断・治療を行うものではありません。持病や治療中の方は、食事内容の変更前にかかりつけ医にご相談ください。


まとめ

野菜ジュースは「何色が最強か」で選ぶものではなく、複数色を無理なく分散して取り入れるのが最も合理的です。

赤・オレンジ系はカロテノイド、緑系は緑葉野菜の栄養素、紫系はアントシアニンとそれぞれ異なる強みがあります。色を固定せずローテーションしながら、無糖・食事と一緒という2つの条件を守ることで、野菜ジュースを健康習慣の一部として活用してください。



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瀬戸 茉莉花

看護師として大学病院・公立病院で臨床を経験後、現在も大学教員として17年間、看護学生の教育と生活習慣病予防の研究に携わっています。看護師・保健師。保健学博士。2児の母として、子育てをしながら情報発信中。
人の幸せの根底には、健康があると思っています。健康だからこそ、大切な人と楽しい時間を少しでも多く過ごせる。そのために健康オタク仲間を増やして、みんなで人生の最後まで元気でいたい。そんな思いでこのブログを書いています

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【使用文献】

【使用文献】

文献1:Aune D, et al. Fruit and vegetable intake and the risk of cardiovascular disease, total cancer and all-cause mortality. Int J Epidemiol. 2017;46(3):1029–1056. PMID: 28338764

文献2:Zhu X, et al. Associations of serum carotenoids with risk of all-cause and cardiovascular mortality in hypertensive adults. J Am Heart Assoc. 2023;12(4):e027568. PMID: 36752230

文献3:Ojagbemi A, et al. Dietary intakes of green leafy vegetables and incidence of cardiovascular diseases. Nutr Metab Cardiovasc Dis. 2021;31(7):1958–1966. PMID: 34128951

文献4:Kimble R, et al. Dietary intake of anthocyanins and risk of cardiovascular disease: A systematic review and meta-analysis of prospective cohort studies. Crit Rev Food Sci Nutr. 2019;59(18):3032–3043. PMID: 30277799

文献5:Stahl W, Sies H. Uptake of lycopene and its geometrical isomers is greater from heat-processed than from unprocessed tomato juice in humans. J Nutr. 1992;122(11):2161–2166. PMID: 1432255

文献6:Li Y, et al. Folic acid supplementation and the risk of cardiovascular diseases: a meta-analysis of randomized controlled trials. J Am Heart Assoc. 2016;5(8):e003768. PMID: 27528407

文献7:Filippini T, et al. The effect of potassium supplementation on blood pressure in hypertensive subjects: a systematic review and meta-analysis. Int J Cardiol. 2017;230:127–135. PMID: 28024910

文献8:Nomi Y, Iwasaki-Kurashige K, Matsumoto H. Therapeutic effects of anthocyanins for vision and eye health. Molecules. 2019;24(18):3311. PMID: 31514422

※本記事は健康情報の提供を目的としており、診断・治療・医療行為を推奨するものではありません。症状や体調についての具体的なご相談は、医師または薬剤師にご確認ください。

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