LDLコレステロールを下げる食事・方法は?食物繊維・脂質・植物ステロールを保健学博士が解説

動脈硬化ケア

健診で「LDLコレステロールが高い」と言われて、どうすればいいか迷っていませんか。薬による治療が必要な場合もありますが、食事や生活習慣でできることも少なくありません。ただし、巷にあふれる「これを食べれば下がる」という情報は玉石混交です。この記事では、LDLがなぜ動脈硬化に関わるのか、そして下げるために本当に根拠のある方法は何かを、査読論文をもとに整理します。

LDLコレステロールとは|なぜ動脈硬化に関わるのか

コレステロールそのものは、細胞膜やホルモンの材料になる、体に欠かせない物質です。問題になるのは「多すぎるLDL」です。LDL(低比重リポたんぱく)はコレステロールを全身へ運ぶ役割を持ちますが、血液中に増えすぎると血管の壁に入り込み、酸化などを経てプラーク(かたまり)を作ります。これが動脈硬化の始まりです。

近年の大きな到達点は、LDLが動脈硬化の「単なる目印」ではなく「原因」だと位置づけられたことです。欧州動脈硬化学会(EAS)は、遺伝研究・大規模な疫学研究・薬による介入試験の総体から、LDLは動脈硬化性心血管疾患の因果的な要因であると結論しました。LDLを下げる幅が大きいほど、また下げている期間が長いほど、リスクは低くなる方向に関連するとも報告されています(Ference BA, et al. Eur Heart J. 2017)。

著者の視点:この10年ではっきりしてきたのは、「LDLは低いほどよい」という考え方がかなり固まったことです。かつては善玉・悪玉という言い方でざっくり語られていましたが、いまは「LDLをどれだけ、どれだけ長く下げられるか」が問われます。だからこそ、食事で毎日少しずつ下げる意味があります。

実践ポイント:まず自分のLDL値と、他の危険因子(喫煙・高血圧・糖尿病・家族歴)を把握してください。危険因子が重なる人ほど、同じLDL値でも下げる意義が大きくなります。数値の目標は個人差が大きいので、主治医と相談を。

脂質の“質”を変える|飽和脂肪酸を減らし、不飽和脂肪へ

食事でLDLを動かす最も確実なレバーのひとつが、脂質の「質」です。バターや脂身、加工肉などに多い飽和脂肪酸はLDLを上げやすく、これを植物油や魚の脂に多い不飽和脂肪酸へ置き換えると、LDLは下がりやすくなります。

短期の食事試験をまとめた解析では、飽和脂肪酸をエネルギーの5%分、多価不飽和脂肪酸に置き換えると、冠動脈疾患のリスクが約10%低い方向に関連すると報告されています(Mozaffarian D, et al. PLoS Med. 2010)。さらに、飽和脂肪を減らす食事の効果を検証したコクランのレビューでは、飽和脂肪の摂取を減らすことで心血管イベントが約17%少なくなった一方、総死亡や心血管死については明確な差が出ませんでした(Hooper L, et al. Cochrane Database Syst Rev. 2020)。「イベントは減るが、死亡までの効果ははっきりしない」という、正直な但し書きつきの結果です。

著者の視点:ここで大事なのは、「脂を減らす」ではなく「脂を替える」だと考えています。脂質をやみくもに抜くと、かえって食事が続かなくなりがちです。バターをオリーブ油に、脂身の多い肉を魚や大豆に。この“替える”という発想なら、我慢は最小限で済みます。

実践ポイント:調理油をオリーブ油や菜種油に、間食を素焼きナッツに。脂身の多い肉や加工肉(ソーセージ・ベーコン)の頻度を下げ、青魚を週に数回。「減らす」より「置き換える」を合言葉にしてください。

水溶性食物繊維でLDLを下げる

食物繊維のなかでも、水に溶けてとろみを作る「水溶性食物繊維」は、LDLを下げる働きが確認されています。腸の中で胆汁酸(コレステロールから作られる成分)を巻き込んで排出させ、その分、肝臓が血中のコレステロールを使って胆汁酸を作り直すため、結果としてLDLが下がると考えられています。

オーツ麦や大麦に多いβ-グルカンは、その代表です。ランダム化比較試験をまとめた解析では、1日3g以上のβ-グルカンでLDLコレステロールが低下したと報告されています(Whitehead A, et al. Am J Clin Nutr. 2014)。もち麦を主食に混ぜる、オートミールを取り入れるといった形で、無理なく増やせます。

著者の視点:食物繊維の良いところは、LDLだけでなく血糖や便通にも同時に働くことです。ひとつの習慣で複数の恩恵が重なる。私が食事指導でまず食物繊維をすすめてきたのは、この“ついで”の多さが理由です。

実践ポイント:β-グルカンは1日3g以上が目安です。もち麦や大麦を主食に混ぜる、オートミールを取り入れるといった形で近づけられます。必要な量の目安は〔もち麦は血糖値とコレステロールに効く?β-グルカンの働きを保健学博士が解説〕にまとめています。

植物ステロール・スタノールを活用する

もうひとつ、根拠のあるアプローチが植物ステロール(フィトステロール)です。植物由来のこの成分は、腸でコレステロールの吸収を邪魔することで、血中LDLを下げます。ランダム化比較試験をまとめた解析では、1日2gの植物ステロール・スタノールで、LDLコレステロールが8〜10%低下すると報告されています(Ras RT, et al. Br J Nutr. 2014)。

日本では、植物ステロールを配合した食用油やマーガリンなどが特定保健用食品(トクホ)として市販されています。食事の工夫にひとつ足す選択肢として知っておくとよいでしょう。

著者の視点:植物ステロールは効果の数字がはっきりしている一方、あくまで“上乗せ”の手段だと捉えています。土台となる食事(脂質の質・食物繊維)が整っていないのに、トクホ製品だけに頼るのは順番が逆。基本を整えたうえで、必要なら足す。その順序が大切だと思います。

実践ポイント:植物ステロールをとるなら1日2g前後が目安です。トクホ表示のある油やスプレッドを、いつもの調理油の一部と差し替える形で無理なく取り入れられます。

運動・減量という後押し

食事だけでなく、運動や体重管理もLDL対策を支えます。有酸素運動や筋トレは、それ単独でのLDLを下げる効果は食事ほど大きくありませんが、HDL(善玉)を保ち、中性脂肪を下げ、体重や血糖・血圧を整えることで、動脈硬化の全体的なリスクを下げる方向に働きます。内臓脂肪が減ると、肝臓でのコレステロール処理も改善しやすくなります。

著者の視点:LDLの数字だけを追うより、体全体を動脈硬化に強い状態へ持っていく。その視点で見ると、運動は“LDLを下げる薬”ではなく“血管を守る土台づくり”です。焦らず、続けられる強度で構いません。

実践ポイント:中性脂肪や血糖もまとめて整えたい方は、〔中性脂肪を下げる食べ物・方法は?青魚・糖質・お酒のポイントを保健学博士が解説〕もあわせてどうぞ。運動は、まずは歩くことからで十分です。

まとめ

LDLコレステロールは、動脈硬化の「原因」と位置づけられる重要な指標です。下げるための食事の柱は、脂質の質を変える(飽和脂肪を不飽和脂肪へ)、水溶性食物繊維を増やす(β-グルカンなど)、植物ステロールを活用する、の3つ。いずれも査読論文で効果が確認された、地に足のついた方法です。加えて運動と体重管理が全体を支えます。派手な単品に飛びつくより、こうした基本を毎日こつこつ。それが、もっとも確実にLDLと動脈硬化を遠ざける道です。数値が高い方、危険因子が重なる方は、自己判断せず主治医と相談しながら進めてください。

医療に関する免責事項

本記事は、査読済みの学術論文や公的機関の見解をもとにした一般的な健康情報の提供を目的としており、特定の診断・治療・予防を推奨したり、医師その他の医療専門職による助言に代わるものではありません。紹介した研究は関連や平均的な効果を示すものであり、すべての方に同じ結果が当てはまるわけではありません。コレステロールの薬を服用中の方、家族性高コレステロール血症を指摘された方、持病のある方は、食事や生活習慣を大きく変える前に主治医や管理栄養士にご相談ください。

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主な参考資料

  1. Ference BA, Ginsberg HN, Graham I, et al. Low-density lipoproteins cause atherosclerotic cardiovascular disease. 1. Evidence from genetic, epidemiologic, and clinical studies. A consensus statement from the European Atherosclerosis Society Consensus Panel. Eur Heart J. 2017;38(32):2459-2472. DOI: 10.1093/eurheartj/ehx144. PMID: 28444290
  2. Mozaffarian D, Micha R, Wallace S. Effects on coronary heart disease of increasing polyunsaturated fat in place of saturated fat: a systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials. PLoS Med. 2010;7(3):e1000252. DOI: 10.1371/journal.pmed.1000252. PMID: 20351774
  3. Hooper L, Martin N, Jimoh OF, et al. Reduction in saturated fat intake for cardiovascular disease. Cochrane Database Syst Rev. 2020;(5):CD011737. DOI: 10.1002/14651858.CD011737.pub2. PMID: 32428300
  4. Whitehead A, Beck EJ, Tosh S, Wolever TM. Cholesterol-lowering effects of oat β-glucan: a meta-analysis of randomized controlled trials. Am J Clin Nutr. 2014;100(6):1413-1421. DOI: 10.3945/ajcn.114.086108. PMID: 25411276
  5. Ras RT, Geleijnse JM, Trautwein EA. LDL-cholesterol-lowering effect of plant sterols and stanols across different dose ranges: a meta-analysis of randomised controlled studies. Br J Nutr. 2014;112(2):214-219. DOI: 10.1017/S0007114514000750. PMID: 24780090

瀬戸 茉莉花

看護師として大学病院・公立病院で臨床を経験後、現在も大学教員として17年間、看護学生の教育と生活習慣病予防の研究に携わっています。看護師・保健師。保健学博士。2児の母として、子育てをしながら情報発信中。
人の幸せの根底には、健康があると思っています。健康だからこそ、大切な人と楽しい時間を少しでも多く過ごせる。そのために健康オタク仲間を増やして、みんなで人生の最後まで元気でいたい。そんな思いでこのブログを書いています

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