卵は1日何個?コレステロールが高い人の目安200mgを保健学博士が解説

動脈硬化ケア

卵は1日1個まで。そう聞いて育った方は多いと思います。最近は「卵はいくつ食べてもいい」という話も耳にします。どちらが本当なのでしょうか。

先に答えを書いておきます。健康な人には、国は上限を決めていません。ただし、LDLコレステロールが高い人には「1日200ミリグラム未満」という目安があり、これは卵1個とほぼ同じ量です。

この記事で分かることを、先に5つ書きます。

  • 健康な人に上限はない。ただし「いくつでもいい」という意味ではない
  • LDLコレステロールが高い人の目安は、1日200ミリグラム未満。Mサイズの卵1個で185〜204ミリグラム
  • よく見かける「卵1個250ミリグラム」は、古い成分表の値で計算した数字と一致する
  • コレステロールは、ほぼすべて卵黄にある
  • 同じ重さで比べると、烏骨鶏の卵のコレステロールは、ふつうの鶏卵の約1.5倍

卵は1日何個まで?国の基準で確かめる

ずいぶん前は、私も「卵は1日1個まで」と考えていました。コレステロールに悪い影響はない、という話を目にしてからは、特に気にしていません。ただ、卵料理をそれほど作るわけではないので、実際には1日に1個食べるか食べないか、というところです。

この「気にしなくていい」が、いまの国の基準でどう扱われているのかを確かめます。

国の「日本人の食事摂取基準」(文献1)は、コレステロールの上限を設定していません。卵やコレステロールをとる量と、心臓・血管の病気との関係が、研究によって一貫していないこと、そして血中の値が「ここから上がる」という境目が見つかっていないことが理由です。1日あたり卵が1個増えても病気の発症に差はなかった、とするまとめがある一方で、とる量が多いほど病気や死亡が多かった、とする解析もあります。

ただし、基準はこうも書いています。「これは許容されるコレステロール摂取量に上限が存在しないことを保証するものではないことに強く注意すべきである」。

上限を決められるだけの根拠がそろっていない、ということです。「いくつ食べてもいい」と確かめられたわけではありません。

実践ポイント
  • 健康な方に、国が決めた個数の上限はありません。基準が紹介している研究にも、1日1個の卵を扱ったものがあります
  • 「いくつ食べてもいい」とは受け取らないでください

コレステロールをとると、血中コレステロールは上がるのか

同じ基準(文献1)は、「コレステロール摂取量が増えれば血中コレステロールは増加する」と書いています。複数の研究をまとめた解析でも、ほぼ同じ結果が示されているとのこと。もっとも、「ここから上がる」というはっきりした境目は見つかっていません。

日本人については、1990年の調査まではとる量と血中の値に関連が見られ、2010年の調査では見られなかった、という報告が紹介されています。基準は、原因と結果が逆になっている可能性にも触れました。卵は体に良くないという情報が広まっていたので、血中の値が高い人ほど卵を控えていたのかもしれない、ということです。

実践ポイント
  • 健診でLDLコレステロールが高めと言われた方は、「卵は関係ない」と決めつけないでください
  • 自分の値は、健診の結果票で確かめられます

LDLコレステロールが高い人は、1日200ミリグラム未満

基準(文献1)は、脂質異常症のある人と、そのリスクが高い人について、別に目安を示しています。重症化を防ぐためには、コレステロールを1日200ミリグラム未満に留めることが望ましい、というものです。

ここでいう「高い人」は、健診で少し高めと言われた人すべてではありません。同じ報告書(文献1)に載っている診断基準では、空腹時のLDLコレステロールが140mg/dL以上で「高LDLコレステロール血症」、120〜139mg/dLは「境界域」です。境界域の場合は、ほかにリスクの高い病気がないかを確かめて、治療が必要かどうかを考える、とされています。

自分がどこに当てはまるかは、健診の結果票の数字と、主治医の判断で確かめてください。

では、卵1個のコレステロールは何ミリグラムでしょうか。国の食品成分表(文献2)では、鶏卵(全卵・生)のコレステロールは100グラムあたり370ミリグラム。殻などを除いた食べられる部分は、86パーセントです。卵の重さは、国の規格(文献3)でサイズごとに決められています。ここから計算しました。

サイズ殻つきの重さ卵1個のコレステロール
MS52〜58 g165〜185 mg
M58〜64 g185〜204 mg
L64〜70 g204〜223 mg
LL70〜76 g223〜242 mg

Mサイズの卵1個で、およそ185〜204ミリグラム。LDLコレステロールが高い人の目安と、ほぼ同じ量です。Lサイズなら、1個で200ミリグラムを超えます。

この数字は、卵だけの分です。ほかの食べ物に含まれるコレステロールは入っていません。また、食べられる部分の割合(86パーセント)は、Lサイズの卵で測られた値です。ほかのサイズにも、同じ割合を当てはめて計算しました。

実践ポイント
  • LDLコレステロールが高いと言われている方は、卵1個で1日の目安にほぼ届く、と知っておいてください
  • 卵の個数は自己判断で決めず、主治医や管理栄養士に相談してください

「卵1個250ミリグラム」は、古い成分表の数字と一致する

卵のコレステロールは、「1個あたり約250ミリグラム」と紹介されることが多くあります。先ほどの表とは合いません。

違いは、成分表の版にありそうです。2015年版の成分表では、鶏卵のコレステロールは100グラムあたり420ミリグラムでした(文献4)。最新の版では、370ミリグラムです(文献2)。

2015年版の値で、中身60グラムの卵を計算すると、約252ミリグラム。よく見かける数字と一致します。最新の値で同じ60グラムを計算すると、222ミリグラムになります。

値が下がった理由は、この記事では確かめられていません。

実践ポイント
  • 卵のコレステロールの数字を見たら、いつの成分表の値かを確かめてください
  • 最新の成分表で計算すると、Mサイズ1個で185〜204ミリグラムです

コレステロールは、ほぼすべて卵黄にある

成分表(文献2)では、卵黄のコレステロールは100グラムあたり1,200ミリグラム、卵白は1ミリグラム。卵のコレステロールは、ほぼすべて卵黄に含まれています。

たんぱく質は、卵黄が100グラムあたり16.5グラム、卵白が10.1グラムです。卵白にも、たんぱく質は含まれています。

実践ポイント
  • コレステロールを控えたい方には、卵白を使う方法があります
  • 卵白だけの料理でも、たんぱく質はとれます

高級な卵やうずらの卵は、コレステロールが違うのか

高級な卵なら、コレステロールは少ないのでしょうか。成分表(文献2)に載っている3種類の卵を、同じ100グラムで比べました。

  • ふつうの鶏卵:370ミリグラム
  • うずらの卵:470ミリグラム
  • 烏骨鶏(うこっけい)の卵:550ミリグラム

烏骨鶏の卵は、ふつうの鶏卵の約1.5倍。成分表にも、通常の鶏卵より高い価格で売られている卵だと書かれています。うずらの卵は、約1.3倍でした。同じ重さで比べると、どちらも鶏卵よりコレステロールが多いことになります。

えさにこだわった鶏卵については、成分表に別の値は載っていません。成分表は、ビタミンなどの値はえさによって変わると説明したうえで、特別なえさを与えていない、ふつうの卵の値を載せています。コレステロールがえさで変わるかどうかは、この記事では確かめられていません。

実践ポイント
  • 「高級な卵だから大丈夫」とは考えないでください。烏骨鶏の卵は、同じ重さならふつうの鶏卵よりコレステロールが多い卵です
  • うずらの卵は小さくても、数を食べれば量は増えます

医療に関する注意

この記事は、国の資料をもとにした一般的な情報です。診断や治療を目的としたものではありません。

  • 脂質異常症で治療を受けている方は、卵の量について主治医や管理栄養士の指示を優先してください
  • この記事のコレステロールの数字は、卵だけの分を計算したものです。食事全体の量ではありません
  • 卵を食べたときに血中の値がどのくらい変わるかは、この記事では分かりません

まとめ

卵は、1日何個まで食べていいのか。

健康な人には、国は上限を決めていません。ただ、「いくつでもいい」と確かめられたわけでもありません。LDLコレステロールが高い人の目安は1日200ミリグラム未満で、Mサイズの卵1個とほぼ同じ量です。

1日1個食べるか食べないか。健康な人には国が上限を決めていない量で、LDLコレステロールが高い人には目安いっぱいの量です。自分がどちらなのかを、健診の結果で確かめてください。

あわせて読みたい

LDLコレステロールを下げたい方へ。食事でできることをまとめました。

LDLコレステロールを下げる食事・方法は?食物繊維・脂質・植物ステロールを保健学博士が解説

間食の量が気になる方へ。ナッツの量を研究から確かめました。

ナッツは1日何グラム?15〜20gで頭打ちになる研究を保健学博士が解説

【使用文献】

  1. 厚生労働省. 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書. 脂質/脂質異常症. https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001316463.pdf/https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001316476.pdf(2026年10月11日閲覧)
  2. 文部科学省. 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年(食品成分データベース). https://fooddb.mext.go.jp/(2026年10月11日閲覧)
  3. 農林水産省. 畜産物の価格安定に関する法律施行規則の規定に基づく鶏卵の規格. https://www.maff.go.jp/j/kokuji_tuti/kokuji/k0000481.html(2026年10月11日閲覧)
  4. 文部科学省. 日本食品標準成分表2015年版(七訂)第2章. https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/1365420.htm(2026年10月11日閲覧)
瀬戸 茉莉花

看護師として大学病院・公立病院で臨床を経験後、現在も大学教員として17年間、看護学生の教育と生活習慣病予防の研究に携わっています。看護師・保健師。保健学博士。2児の母として、子育てをしながら情報発信中。
人の幸せの根底には、健康があると思っています。健康だからこそ、大切な人と楽しい時間を少しでも多く過ごせる。そのために健康オタク仲間を増やして、みんなで人生の最後まで元気でいたい。そんな思いでこのブログを書いています

瀬戸 茉莉花をフォローする

※本記事は健康情報の提供を目的としており、診断・治療・医療行為を推奨するものではありません。症状や体調についての具体的なご相談は、医師または薬剤師にご確認ください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました