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冬になると、部屋の湿度はぐっと下がります。加湿器をつけても、何%にすればいいのか。上げすぎて、結露やカビが出ないか。迷ったことはないでしょうか。
先に答えを書いておきます。国の感染症対策の目安は、湿度50〜60%。多くのカビは60%を超えると育ちやすくなるので、60%が上の線になります。
この記事で分かることを、先に4つ書きます。
- 国の目安は50〜60%。よく見る「40〜60%」「40〜70%」は、別の資料の数字
- 実験では、湿度23%以下に比べて、43%では空気中のウイルスの感染力が大きく下がった
- 多くのカビは60%超、ダニは50%未満が境目
- 湿度は感覚ではなく、温湿度計の数字で見る
冬の部屋の湿度は何%がいい?国の目安は50〜60%
冬は湿度がかなり下がるので、私は加湿器をつけて、温湿度計で確かめながら過ごしています。それでも足りないときは、マスクをして、鼻と口の湿度を上げるようにしています。それだけでも、かぜをひきにくくなる実感があります。インフルエンザには、もう何年もかかっていません。たぶん20年以上です。ただ、湿度を高くすると結露やカビも気になるので、そのバランスが難しいと感じています。
では、何%を目指せばいいのか。国の感染症対策のQ&A(文献1)は、空気が乾燥すると、のどや鼻などの粘膜の守る働きが落ちて、かぜなどにかかりやすくなるとしています。
そのうえで、乾燥しやすい室内では、加湿器などで50〜60%の湿度を保つことも効果的、と書いています。手洗いや十分な休養と並ぶ、予防策の1つという位置づけ。
- 部屋に温湿度計を置いて、数字で確かめてください。乾燥は、感覚では分かりにくいものです
- 目安は50〜60%。手洗いや休養と組み合わせる予防策の1つです
温湿度計の一例です(広告)。温度と湿度を数字で表示するタイプです。

「40〜60%」「40〜70%」はどこから?湿度の数字の出どころ
ネットでは、40〜60%、40〜70%など、いろいろな数字を見かけます。出どころを確かめると、それぞれ別の資料。
| 資料 | 湿度 | どういう数字か |
|---|---|---|
| 国の感染症対策のQ&A(文献1) | 50〜60% | かぜなどの予防として、乾燥しやすい室内で保つ湿度 |
| 1986年の研究のまとめ(文献2) | 40〜60% | 健康への悪い影響が、いちばん少なくなる範囲 |
| 建物の衛生の基準(文献3) | 40〜70% | 多くの人が使う建物で守ることになっている基準。住宅の基準ではない |
3つとも、下の線は40%か50%です。1986年のまとめ(文献2)は、当時の冬の室内で40%を下回るのは珍しくない、と書いています。
50〜60%は、3つの範囲のすべてに入ります。どの資料に照らしても外れない数字。
- 迷ったら、50〜60%を目指してください
- 40%を下回っていたら、加湿を考えるタイミングです
湿度を上げるとウイルスはどうなる?実験で分かったこと
2013年に報告された実験があります(文献4)。咳をするマネキンと、呼吸するマネキンを置いた模擬の診察室で、湿度を7〜73%に変え、空気中のインフルエンザウイルスの感染力を調べたものです。
咳から60分の間に集めたウイルスのうち、感染力が残っていた割合は、湿度23%以下で70.6〜77.3%。湿度43%では14.6%でした。論文は、室内の湿度を40%より高く保てば、空気中のウイルスの感染力は大きく下がる、と結論づけています。下がり方の多くは、咳のあと15分以内に起きていました。
ただし、湿度57%では22.2%で、43%のときより少し多く残っていました。湿度は高ければ高いほどよい、という結果ではありません。
これはマネキンを使った実験です。人が実際にインフルエンザにかかりにくくなるかを確かめたものではない点に、注意してください。
- 「湿度を上げれば、インフルエンザにかからない」とは考えないでください。手洗いなど、ほかの予防と合わせることが前提です
- 少なくとも、40%を下回らないようにしてください
加湿しすぎの目安:カビは60%、ダニは50%が境目
湿度を上げると、今度は結露やカビが気になります。1986年のまとめ(文献2)によると、多くのカビは、湿度が60%を超えないと育ちません。ダニは、湿度50%未満で数がいちばん少なく、80%でいちばん多くなります。
国の目安の50〜60%は、カビが育ちやすくなる60%の手前に収まります。ダニの境目の50%とは、ちょうど接する位置です。
窓に結露が出るかどうかは、部屋の湿度だけでなく、窓の冷たさにも左右されます。どの条件で結露が出るかを示す資料は、今回は確かめていません。
- 温湿度計で、下だけでなく上も見てください。60%を超えていたら、加湿を控えるサインです
- 結露が続く部屋は、加湿を少し弱めてください
加湿器の選び方と、マスクで吸う空気を潤す方法
加湿器の種類について、1986年のまとめ(文献2)は、気化式か加熱式(スチーム式)が望ましいとしています。冷たい霧を出すタイプは、アレルギーの原因になる物質で汚れた細かい粒を、部屋に広げることがあるためです。
加湿器だけでは足りないときに、手軽なのがマスクです。2021年の実験(文献5)では、マスクをつけて呼吸すると、吸い込む空気の湿度が上がりました。上がり方は、サージカルマスクで約38%分、N95マスクと綿・ポリエステルの布マスクで55〜60%分でした。
ただし、これは予備的な研究です。マスクで吸う空気が潤うことは示されましたが、それでかぜを防げるかまでは確かめられていません。
- 加湿器を選ぶなら、気化式か加熱式を
- 加湿器だけで足りないときは、家の中でマスクをする方法もあります
- 加湿器は、説明書どおりに手入れしてください
医療に関する注意
この記事は、国の資料と研究をもとにした一般的な情報です。診断や治療を目的としたものではありません。
- ぜんそくやアレルギーで、主治医から湿度について指示を受けている方は、そちらを優先してください
- この記事で紹介した実験は、人がかぜやインフルエンザにかかりにくくなるかを確かめたものではありません
- 建物の衛生の基準(40〜70%)は、多くの人が使う建物のためのもので、住宅の基準ではありません
まとめ
冬の部屋の湿度は、何%がいいのか。
国の目安は50〜60%です。よく見る40〜60%や40〜70%とも重なり、カビが育ちやすくなる60%の手前に収まります。実験では、湿度23%以下に比べて、43%では空気中のウイルスの感染力が大きく下がりました。
加湿は、上げすぎても下げすぎてもいけません。温湿度計を1つ置いて、50〜60%の間にあるかを数字で見る。乾燥とカビの両方に気を配るには、まずそこからです。
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【使用文献】
- 厚生労働省. 令和8年度冬季 急性呼吸器感染症(ARI)総合対策に関するQ&A(令和8年9月30日版). https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/infulenza/QA2026.html(2026年10月23日閲覧)
- Arundel AV, Sterling EM, Biggin JH, Sterling TD. Indirect health effects of relative humidity in indoor environments. Environ Health Perspect. 1986;65:351–361. doi:10.1289/ehp.8665351
- 厚生労働省. 建築物環境衛生管理基準について. https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/seikatsu-eisei10/(2026年10月23日閲覧)
- Noti JD, Blachere FM, McMillen CM, Lindsley WG, Kashon ML, Slaughter DR, Beezhold DH. High humidity leads to loss of infectious influenza virus from simulated coughs. PLoS One. 2013;8(2):e57485. doi:10.1371/journal.pone.0057485
- Courtney JM, Bax A. Hydrating the respiratory tract: An alternative explanation why masks lower severity of COVID-19. Biophys J. 2021;120(6):994–1000. doi:10.1016/j.bpj.2021.02.002
※本記事は健康情報の提供を目的としており、診断・治療・医療行為を推奨するものではありません。症状や体調についての具体的なご相談は、医師または薬剤師にご確認ください。


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