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「なかなか寝つけない」「夜中に目が覚める」「朝起きても疲れが残っている」——このような睡眠の悩みを抱えている方は少なくありません。
睡眠改善というと、スマホを見ない・入浴の時間を変えるといった「行動習慣」に目が向きがちです。しかし、毎日食べるものが睡眠の質に直接影響することが、複数の臨床研究で示されています。
この記事では、現在もっともエビデンスが揃っている2つの食材——キウイフルーツとチェリー(タルトチェリー)——に絞り、その科学的根拠と実践方法を解説します。
睡眠の質と食事の関係:なぜ食べ物が眠りに影響するのか
睡眠は、脳内の神経伝達物質と体内時計によってコントロールされています。その中心となるのがセロトニンとメラトニンという2つのホルモンです。
セロトニンは日中に分泌される覚醒系のホルモンで、日が暮れるとメラトニンへと変換されます。このメラトニンが「眠気のスイッチ」となり、スムーズな入眠と睡眠の維持を促します。
重要なのは、メラトニンの材料となるセロトニンは、食事から摂るトリプトファンというアミノ酸から作られるという点です。つまり、食べるものが変われば、セロトニン・メラトニンの産生量が変わり、睡眠の質にも影響します。
また、一部の食品にはメラトニン自体が含まれており、そのまま体内で利用される可能性が示されています。
キウイフルーツ:最も研究が進んだ「睡眠食材」
エビデンスの概要
キウイフルーツは、現時点でもっとも複数の臨床データが揃った睡眠改善食材です。
文献1(Lin et al., 2011)は、睡眠に問題を抱える成人24名を対象に、就寝1時間前にキウイを2個、4週間摂取させた試験です(文献1)。その結果、以下の変化が確認されました。
- 睡眠潜時(入眠にかかる時間):35.4%短縮
- 中途覚醒時間:28.9%減少
- 総睡眠時間:13.4%増加
- 睡眠効率:5.41%向上
- 主観的な睡眠の質スコア(CPSQI):42.4%改善
この試験は自己対照デザインであり対照群を持たない点は限界ですが、主観・客観の両方の指標(アクチグラフと睡眠日誌)で一貫した改善が見られた点は注目に値します。
文献2(Kanon et al., 2023)は、良眠者12名・睡眠不良者12名の計24名を対象としたランダム化クロスオーバー試験です(文献2)。新鮮なキウイ・乾燥キウイ・水(対照)の3条件を比較した結果、キウイ(生・乾燥ともに)を摂取した条件ではセロトニン代謝物(5-HIAA)の尿中排泄量が対照と比較して有意に増加しました。これにより、キウイがセロトニン→メラトニン経路を介して睡眠を改善するメカニズムの一端が示されています。
キウイの睡眠改善成分
文献3(Doherty et al., 2023)では、キウイに含まれる主な睡眠関連成分として以下が整理されています(文献3)。
- メラトニン(24 µg/g):概日リズムの調整に直接関与
- セロトニン(5.8 µg/g):メラトニンの前駆体として機能
- 葉酸:不足すると不眠やむずむず脚症候群との関連が示唆される
- ビタミンC・ポリフェノール:抗酸化作用により酸化ストレスを軽減し、睡眠障害の一因を抑制
著者の視点:キウイは「睡眠薬に代わるもの」ではありませんが、食品として安全に継続できる点、かつ複数のメカニズムが重なっている点が他の食材にない強みです。特に睡眠の質に悩む中高年・アスリートにとって、低リスクで試せる第一選択肢と位置づけられます。
タルトチェリー(サワーチェリー):メラトニン含有量が特に高い果実
エビデンスの概要
文献4(Barforoush et al., 2025)は、タルトチェリーと睡眠に関する7本の介入研究を対象とした最新のシステマティックレビューです(文献4)。
主な知見は以下の通りです。
- 7本中3本の研究で、睡眠時間・睡眠効率・入眠時間において有意な改善を報告
- 7本中3本の研究で、タルトチェリー摂取後に尿中または血中のメラトニン量が増加
- 2本の研究で、炎症マーカー(CRPおよびMDA)の有意な低下を確認
タルトチェリーが睡眠に効果をもたらすと考えられる主な理由は、メラトニン・セロトニン・トリプトファンの3つを同時に含む点にあります。特にモンモランシー種(Montmorency tart cherry)はメラトニン含有量が高く、研究でも多く使われています。
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著者の視点:タルトチェリーは日本ではさくらんぼの一種として知られていますが、生果の入手が難しい場合はジュースや粉末・サプリメントとして摂取する方法が現実的です。エビデンスの多くはジュース(1日240〜480mL)または粉末(約100g相当)での試験に基づいており、「なんとなく果物を食べる」よりも形態と量を意識することが重要です。
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実践方法:いつ・どのくらい食べればいい?
研究結果をまとめると、以下の目安が導き出せます。
キウイフルーツ
- 就寝1時間前に2個(約130g)
- 毎晩4週間継続で効果が確認されている
- 生のグリーンキウイが基本(加熱不要、生は栄養素が保たれる)
タルトチェリー
- ジュースの場合:就寝前に240mL(研究によっては朝・夜2回摂取)
- サプリ・粉末の場合:約100g相当を目安に商品の用法に従う
- 継続期間:2週間〜4週間での効果報告が多い
どちらも単独の劇的効果を期待するものではなく、食習慣の一部として継続する補助的な手段と位置づけるのが適切です。睡眠の問題が深刻な場合は、医師や専門家への相談が優先されます。
まとめ:睡眠の質を上げたいなら、まずキウイから試す
睡眠の質に影響する食べ物の中で、現時点でもっとも複数の臨床試験に裏付けられているのがキウイフルーツとタルトチェリーです。キウイはセロトニン・メラトニン・葉酸・ビタミンCの複合作用で睡眠を改善し、タルトチェリーは高いメラトニン含有量と抗炎症成分によって睡眠の質・量の両方に働きかけます。
いずれも安全性が高く、継続のハードルも低い食材です。「眠れない」「眠りが浅い」と感じている方は、まず就寝1時間前のキウイ2個から試してみてください。
【使用文献】
文献1
Lin, H. H., Tsai, P. S., Fang, S. C., & Liu, J. F. (2011). Effect of kiwifruit consumption on sleep quality in adults with sleep problems. Asia Pacific Journal of Clinical Nutrition, 20(2), 169–174.
文献2
Kanon, A. P., Giezenaar, C., Roy, N. C., McNabb, W. C., & Henare, S. J. (2023). Acute effects of fresh versus dried Hayward green kiwifruit on sleep quality, mood, and sleep-related urinary metabolites in healthy young men with good and poor sleep quality. Frontiers in Nutrition, 10, 1079609.
文献3
Doherty, R., Madigan, S. M., Nevill, A., Warrington, G., & Ellis, J. G. (2023). The Impact of Kiwifruit Consumption on the Sleep and Recovery of Elite Athletes. Nutrients, 15(10), 2274.
文献4
Barforoush, F., Ebrahimi, S., Abdar, M. K., Khademi, S., & Morshedzadeh, N. (2025). The Effect of Tart Cherry on Sleep Quality and Sleep Disorders: A Systematic Review. Food Science & Nutrition, 13(9), e70923.
「なかなか寝つけない」「夜中に目が覚める」「朝起きても疲れが残っている」——このような睡眠の悩みを抱えている方は少なくありません。
睡眠改善というと、スマホを見ない・入浴の時間を変えるといった「行動習慣」に目が向きがちです。しかし、毎日食べるものが睡眠の質に直接影響することが、複数の臨床研究で示されています。
なかでも注目されているのがキウイフルーツです。キウイ1gあたりのメラトニン含有量は約24 µg(文献3)。就寝1時間前にキウイを2個(約130g)食べた臨床試験では、入眠時間が35%短縮されたことが報告されています(文献1)。
この記事では、キウイフルーツを中心に、現在もっともエビデンスが揃った睡眠改善食材の科学的根拠と実践方法を解説します。
睡眠の質と食事の関係:なぜ食べ物が眠りに影響するのか
睡眠は、脳内の神経伝達物質と体内時計によってコントロールされています。その中心となるのがセロトニンとメラトニンという2つのホルモンです。
セロトニンは日中に分泌される覚醒系のホルモンで、日が暮れるとメラトニンへと変換されます。このメラトニンが「眠気のスイッチ」となり、スムーズな入眠と睡眠の維持を促します。
重要なのは、メラトニンの材料となるセロトニンは、食事から摂るトリプトファンというアミノ酸から作られるという点です。つまり、食べるものが変われば、セロトニン・メラトニンの産生量が変わり、睡眠の質にも影響します。
また、一部の食品にはメラトニン自体が含まれており、そのまま体内で利用される可能性が示されています。
キウイフルーツ:最も研究が進んだ「睡眠食材」
エビデンスの概要
キウイフルーツは、現時点でもっとも複数の臨床データが揃った睡眠改善食材です。
文献1(Lin et al., 2011)は、睡眠に問題を抱える成人24名を対象に、就寝1時間前にキウイを2個、4週間摂取させた試験です(文献1)。その結果、以下の変化が確認されました。
- 睡眠潜時(入眠にかかる時間):35.4%短縮
- 中途覚醒時間:28.9%減少
- 総睡眠時間:13.4%増加
- 睡眠効率:5.41%向上
- 主観的な睡眠の質スコア(CPSQI):42.4%改善
この試験は自己対照デザインであり対照群を持たない点は限界ですが、主観・客観の両方の指標(アクチグラフと睡眠日誌)で一貫した改善が見られた点は注目に値します。
文献2(Kanon et al., 2023)は、良眠者12名・睡眠不良者12名の計24名を対象としたランダム化クロスオーバー試験です(文献2)。新鮮なキウイ・乾燥キウイ・水(対照)の3条件を比較した結果、キウイ(生・乾燥ともに)を摂取した条件では、セロトニン代謝物(5-HIAA)の増加や睡眠・気分の改善が確認されました。セロトニン代謝の変化がキウイの睡眠改善メカニズムの一端を担う可能性が示唆されています。
キウイのメラトニン含有量について
キウイフルーツのメラトニン含有量は約24 µg/gとされており(文献3)、セロトニンは約5.8 µg/g含まれています。これらは一般的な果物の中でも高い水準にあり、複数の睡眠関連成分が同時に含まれる点がキウイの特徴です。
単独の成分ではなく、メラトニン・セロトニン・葉酸・ビタミンCの複合的な作用が睡眠改善につながると考えられています(文献3)。
キウイの睡眠改善成分
文献3(Doherty et al., 2023)では、キウイに含まれる主な睡眠関連成分として以下が整理されています(文献3)。
- メラトニン(24 µg/g):概日リズムの調整に直接関与
- セロトニン(5.8 µg/g):メラトニンの前駆体として機能
- 葉酸:不足すると不眠やむずむず脚症候群との関連が示唆される
- ビタミンC・ポリフェノール:抗酸化作用により酸化ストレスを軽減し、睡眠障害の一因を抑制
著者の視点:キウイは「睡眠薬に代わるもの」ではありませんが、食品として安全に継続できる点、かつ複数のメカニズムが重なっている点が他の食材にない強みです。特に睡眠の質に悩む中高年・アスリートにとって、低リスクで試せる第一選択肢と位置づけられます。
タルトチェリー(サワーチェリー):メラトニン含有量が特に高い果実
エビデンスの概要
文献4(Barforoush et al., 2025)は、タルトチェリーと睡眠に関する7本の介入研究を対象とした最新のシステマティックレビューです(文献4)。
主な知見は以下の通りです。
- 7本中3本の研究で、睡眠時間・睡眠効率・入眠時間において有意な改善を報告
- 7本中3本の研究で、タルトチェリー摂取後に尿中または血中のメラトニン量が増加
- 2本の研究で、炎症マーカー(CRPおよびMDA)の有意な低下を確認
タルトチェリーが睡眠に効果をもたらすと考えられる主な理由は、メラトニン・セロトニン・トリプトファンの3つを同時に含む点にあります。特にモンモランシー種(Montmorency tart cherry)はメラトニン含有量が高く、研究でも多く使われています。
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著者の視点:タルトチェリーは日本ではさくらんぼの一種として知られていますが、生果の入手が難しい場合はジュースや粉末・サプリメントとして摂取する方法が現実的です。エビデンスの多くはジュース(1日240〜480mL)または粉末(約100g相当)での試験に基づいており、「なんとなく果物を食べる」よりも形態と量を意識することが重要です。
あわせて読みたい
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実践方法:いつ・どのくらい食べればいい?
研究結果をまとめると、以下の目安が導き出せます。
キウイフルーツ
- 就寝1時間前に2個(約130g)
- 毎晩4週間継続で効果が確認されている
- 生のグリーンキウイが基本(加熱不要、生は栄養素が保たれる)
タルトチェリー
- ジュースの場合:就寝前に240mL(研究によっては朝・夜2回摂取)
- サプリ・粉末の場合:約100g相当を目安に商品の用法に従う
- 継続期間:2週間〜4週間での効果報告が多い
どちらも単独の劇的効果を期待するものではなく、食習慣の一部として継続する補助的な手段と位置づけるのが適切です。睡眠の問題が深刻な場合は、医師や専門家への相談が優先されます。
まとめ:睡眠の質を上げたいなら、まずキウイから試す
睡眠の質に影響する食べ物の中で、現時点でもっとも複数の臨床試験に裏付けられているのがキウイフルーツとタルトチェリーです。キウイはセロトニン・メラトニン・葉酸・ビタミンCの複合作用で睡眠を改善し、タルトチェリーは高いメラトニン含有量と抗炎症成分によって睡眠の質・量の両方に働きかけます。
いずれも安全性が高く、継続のハードルも低い食材です。「眠れない」「眠りが浅い」と感じている方は、まず就寝1時間前のキウイ2個から試してみてください。
【使用文献】
文献1
Lin, H. H., Tsai, P. S., Fang, S. C., & Liu, J. F. (2011). Effect of kiwifruit consumption on sleep quality in adults with sleep problems. Asia Pacific Journal of Clinical Nutrition, 20(2), 169–174.
文献2
Kanon, A. P., Giezenaar, C., Roy, N. C., McNabb, W. C., & Henare, S. J. (2023). Acute effects of fresh versus dried Hayward green kiwifruit on sleep quality, mood, and sleep-related urinary metabolites in healthy young men with good and poor sleep quality. Frontiers in Nutrition, 10, 1079609.
文献3
Doherty, R., Madigan, S. M., Nevill, A., Warrington, G., & Ellis, J. G. (2023). The Impact of Kiwifruit Consumption on the Sleep and Recovery of Elite Athletes. Nutrients, 15(10), 2274.
文献4
Barforoush, F., Ebrahimi, S., Karimian Abdar, M., Khademi, S., & Morshedzadeh, N. (2025). The Effect of Tart Cherry on Sleep Quality and Sleep Disorders: A Systematic Review. Food Science & Nutrition, 13(9), e70923.


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