糖尿病の合併症のひとつに「糖尿病性神経障害」があり、発汗を司る自律神経が障害されると、暑くても汗をかけなくなったり、汗のかき方に偏りが出たりすることがあるとされています。発汗は体温を下げるしくみの中心なので、これがうまく働かないと体温が上がりやすくなり、熱中症につながりやすいと考えられています(参考:糖尿病ネットワーク「糖尿病による神経障害」)。Mayo Clinicの内分泌科グループによるレビュー(Westphal SA et al., Endocr Pract. 2010; PMID: 20150024)でも、糖尿病をお持ちの方は熱による悪影響(脱水・電解質異常・救急受診の増加など)を受けやすく、熱中症への感受性が高い可能性があると報告されています。
夏の暑熱環境において糖尿病患者の血糖調節に変化が生じうることは、Mayo Clinicのレビュー(Westphal SA et al., 2010)でも指摘されています。これに加え、暑さや体調不良によるストレスがコルチゾールなどのホルモン分泌を介して血糖値に影響することも、血糖コントロールが乱れる要因のひとつとして考えられています。「夏は血糖コントロールが乱れやすい」と感じる方が多いのは、こうした複数の要因が重なっているためかもしれません。
Q1. 経口補水液は糖尿病でも飲んでいい? A. 経口補水液にもブドウ糖が含まれており、糖尿病の方が常用すると血糖コントロールに影響するおそれがあるとされています。一方で、脱水時には有用とされる飲み物でもあります。「飲んでいいか・どんなタイミングで使うか」を、夏が本格化する前に主治医に相談しておくことが勧められています。
Q2. 夏場に血糖値が不安定になりやすいのはなぜですか? A. 暑さによるストレスや脱水、食欲の変化など、夏場は血糖コントロールに影響する要因が増えると考えられています。自己測定の数値が普段と大きく違う場合や、体調の変化を伴う場合は、自己判断せず早めに主治医へ相談してください。
Q3. SGLT2阻害薬を飲んでいます。普段から多めに水を飲んだほうがいい? A. SGLT2阻害薬は尿量が増える特徴があり、脱水防止のための水分補給が重要とされています。具体的な必要量や注意点は個人差が大きいため、主治医や薬剤師の指示に従ってください。
Q4. 熱中症かな?と思ったら、まず何をすればよい? A. 涼しい場所に移動して衣服をゆるめ、首・脇・足の付け根などを冷やし、水分・塩分補給をするのが基本とされています。意識がはっきりしない、自分で水が飲めないといった症状があるときは迷わず救急要請を。判断に迷う場合は早めに医療機関へ相談してください。
Westphal SA, Childs RD, Seifert KM, et al. Managing diabetes in the heat: potential issues and concerns. Endocr Pract. 2010;16(3):506-511. DOI: 10.4158/EP09344.RA. PMID: 20150024
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