バナナのメラトニン含有量は?キウイと比較しながら睡眠改善への効果を保健学博士が解説

睡眠

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「バナナを食べると眠れる」という話を聞いたことはないでしょうか。当サイトのキウイのメラトニン記事にもたくさんのアクセスをいただいていますが、「バナナはどうなの?」というご質問もよく届きます。

この記事では、バナナに実際にどれくらいのメラトニンが含まれているのか、キウイと比較しながら、論文データをもとに解説します。


バナナのメラトニン含有量:実は「直接量」は少ない

結論から言うと、バナナのメラトニン直接含有量は非常に少量です。

Sae-Teaw et al.(2013)の分析によると、バナナの生果実中のメラトニン含有量は平均8.9 pg/g(ピコグラム/グラム)とされています。これはピコグラム(1兆分の1グラム)単位の話であり、キウイの24 µg/g(マイクログラム)(Hattori et al., 1995※品種・測定方法により異なる場合あり)と比べるとケタ違いに少ない数値です。

Sae-Teaw M, Johns J, Johns NP, Subongkot S. Serum melatonin levels and antioxidant capacities after consumption of pineapple, orange, or banana by healthy male volunteers. J Pineal Res. 2013;55(1):58-64. doi:10.1111/jpi.12025


それでも「バナナで眠れる」のはなぜ?

メラトニンの直接量は少ないにもかかわらず、同じSae-Teaw et al.(2013)の臨床試験では、健康な男性12名がバナナ2本を摂取した後、120分後の血中メラトニン濃度が摂取前の32 pg/mLから140 pg/mLへと有意に上昇することが確認されています(P=0.008)。

なお、この結果はバナナ2本を用いた試験によるものです。1本あたりの効果は現時点では明確にはわかっていませんが、バナナの摂取が体内のメラトニン産生を促進する可能性は示されています。そのメカニズムはメラトニンを直接摂取するためではなく、睡眠関連物質の「前駆体(もととなる成分)」が豊富だからと考えられています。

バナナに含まれる3つの睡眠関連成分

① トリプトファン バナナ100gあたり約9〜11mgのトリプトファン(必須アミノ酸)が含まれています(USDA FoodData Central)。トリプトファンは脳内でセロトニンを経てメラトニン合成の原料となりますが、その変換効率は限定的であり、後述するビタミンB6やマグネシウムなど複数の栄養素が組み合わさることで睡眠をサポートすると考えられています。

② ビタミンB6 トリプトファン→セロトニンへの変換を助ける補酵素です。バナナはビタミンB6を比較的多く含む果物のひとつです。

③ マグネシウム・カリウム 筋肉の緊張をほぐし、副交感神経(リラックス系)を活性化する作用があります。就寝前の体のこわばりや足のつりを和らげる効果も期待できます。

この3つがそろっているため、バナナは「メラトニンを直接増やす食品」ではなく、「体内でのメラトニン合成をサポートする食品」として位置づけるのが正確です。


キウイとの比較:何が違うのか

比較項目バナナキウイ
メラトニン直接含有量約8.9 pg/g(非常に少量)約24 µg/g(Hattori et al., 1995/品種・測定方法により異なる)
主な睡眠メカニズムトリプトファン経由(間接的)メラトニン直接+セロトニン+抗酸化
摂取後の血中メラトニン変化32→140 pg/mL(バナナ2本摂取・臨床試験)臨床試験で睡眠の質が改善
臨床エビデンスの強さ小規模・示唆的複数のRCTあり・比較的強い
カロリー(100gあたり)約86 kcal約61 kcal
おすすめの人運動習慣がある・足がつりやすい・マグネシウム不足が心配な人睡眠の質改善を最優先したい人

キウイのエビデンスについて

キウイの睡眠改善効果については、Lin et al.(2011)が「睡眠に問題のある成人が就寝1時間前にキウイを2個、4週間摂取したところ、睡眠の質スコアが42.4%改善した」と報告しています(Asia Pac J Clin Nutr.2011)。

Lin HH, Tsai PS, Fang SC, Liu JF. Effect of kiwifruit consumption on sleep quality in adults with sleep problems. Asia Pac J Clin Nutr. 2011;20(2):169-174.

また、キウイが睡眠に効く主なメカニズムはメラトニンの直接摂取というより、セロトニン代謝の促進と抗酸化作用の組み合わせである可能性が、最近の研究でも示されています。

Doherty R, et al. Acute effects of fresh versus dried Hayward green kiwifruit on sleep quality, mood, and sleep-related urinary metabolites in healthy young men with good and poor sleep quality. Front Nutr. 2023. doi:10.3389/fnut.2023.1239713


バナナの効果的な食べ方

食べるタイミング

就寝1〜2時間前が目安です。トリプトファンが脳内でセロトニンに変換されるには一定の時間が必要なため、食べてすぐ眠れるわけではありません。

量の目安

1本(可食部約100g)が適量です。バナナは果物のなかでカロリーがやや高めのため、就寝前に2本以上食べると血糖値の上昇が気になる場合があります。

組み合わせのヒント

トリプトファンを多く含むヨーグルトと一緒に食べると、睡眠に関わる成分をより効率よく摂取できます。また、炭水化物(バナナの糖質)と一緒にトリプトファンを摂取すると脳への取り込みが促進されるという研究知見もあります。


まとめ

  • バナナのメラトニン直接含有量は約8.9 pg/g と非常に少ない
  • ただし、バナナ2本摂取後120分で血中メラトニンが32→140 pg/mLに上昇することが臨床試験で確認されている(Sae-Teaw et al., 2013)。1本あたりの効果は現時点では不明
  • 効果の主体は「メラトニン直接摂取」ではなく、トリプトファン・ビタミンB6・マグネシウムによる「間接的なメラトニン合成サポート」
  • キウイは複数の臨床試験で睡眠改善効果が確認されており、エビデンスの蓄積量ではキウイが上回る
  • 「バナナ+ヨーグルト、就寝1〜2時間前」は、論文ベースで根拠のある睡眠ケアのひとつ
瀬戸 茉莉花

看護師として大学病院・公立病院で臨床を経験後、現在も大学教員として17年間、看護学生の教育と生活習慣病予防の研究に携わっています。看護師・保健師。保健学博士。2児の母として、子育てをしながら情報発信中。
人の幸せの根底には、健康があると思っています。健康だからこそ、大切な人と楽しい時間を少しでも多く過ごせる。そのために健康オタク仲間を増やして、みんなで人生の最後まで元気でいたい。そんな思いでこのブログを書いています

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参考文献

  1. Sae-Teaw M, Johns J, Johns NP, Subongkot S. Serum melatonin levels and antioxidant capacities after consumption of pineapple, orange, or banana by healthy male volunteers. Journal of Pineal Research.2013;55(1):58-64. doi:10.1111/jpi.12025
  2. Lin HH, Tsai PS, Fang SC, Liu JF. Effect of kiwifruit consumption on sleep quality in adults with sleep problems. Asia Pacific Journal of Clinical Nutrition. 2011;20(2):169-174. doi:10.6133/apjcn.2011.20.2.05
  3. Doherty R, Madigan SM, Nevill A, Warrington G, Ellis JG. Acute effects of fresh versus dried Hayward green kiwifruit on sleep quality, mood, and sleep-related urinary metabolites in healthy young men with good and poor sleep quality. Frontiers in Nutrition. 2023. doi:10.3389/fnut.2023.1239713
  4. Hattori A, Migitaka H, Iigo M, Itoh M, Yamamoto K, Ohtani-Kaneko R, Hara M, Suzuki T, Reiter RJ. Identification of melatonin in plants and its effects on plasma melatonin levels and binding to melatonin receptors in vertebrates. Biochemistry and Molecular Biology International. 1995;35(3):627-634. PMID: 7773197

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