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この記事でわかること
- 熱中症と食生活の関係
- 熱中症リスクを高める5つの食習慣
- 今日からできる食生活の改善ポイント
熱中症は「食べ方」も関係している
熱中症対策といえば「こまめな水分補給」が真っ先に思い浮かぶ方が多いのではないでしょうか。もちろん水分補給は大切です。しかし、実は日ごろの食生活そのものが、熱中症へのかかりやすさを大きく左右しています。
食事は体温調節に必要なエネルギーや栄養素を供給する土台です。特定の食習慣が続くと、暑熱環境への適応力が低下し、熱中症を起こしやすい体になってしまいます。
「水だけ飲んでいれば大丈夫」ではありません。この記事では、熱中症リスクを高める5つの食習慣を具体的に解説します。
著者の視点: 私自身、以前は熱中症対策=水分補給という理解でとまっていました。栄養学的な視点を意識するようになってから、夏の体調が明らかに安定してきたと感じています。食事は「習慣」なので、小さな改善でも積み重ねれば確実に体に影響します。
熱中症リスクを高める5つの食習慣
1. 朝食を抜く習慣
朝食を食べないことは、熱中症リスクを高める食習慣のひとつです。
医学生127名を対象とした研究では、毎日朝食を欠食する学生は朝食を食べる学生に比べて疲労が生じるリスクがオッズ比7.81(95%信頼区間 2.00–30.52)と有意に高いことが示されています(文献2)。疲労が蓄積した状態では、暑熱環境への適応力も低下しやすくなります。
また、食事は水分摂取の重要な機会でもあります。朝食を丸ごと抜くことで、睡眠中に失われた水分が補われないまま外出することにもなります。
著者の視点: 「忙しい朝に食べる余裕がない」という声はよく聞きます。そういう方には、おにぎり1個とみそ汁1杯でも十分です。「とにかく何か口に入れる」という感覚で構いません。継続できる形を見つけることが大切です。
2. 糖質中心の食事でビタミンB1が不足している
夏は食欲が落ち、素麺や冷やし中華など、さっぱりした糖質中心の食事に偏りがちです。ところが、糖質をエネルギーに変えるためにはビタミンB1(チアミン)が必要です(文献1)。
ビタミンB1は糖質代謝に不可欠な補酵素の役割を果たしています。夏に糖質の多い食事が増えてもビタミンB1の補給が追いつかなければ、エネルギーを効率よく作り出せず、疲れやすい状態が続きます(文献1)。疲労が蓄積すると、暑熱環境への適応力はさらに落ちていきます。
ビタミンB1を多く含む食材は豚肉・うなぎ・玄米・大豆・きのこ類などです。にんにくや玉ねぎに含まれるアリシンと一緒に摂ると、ビタミンB1の含有量が7倍にアップします(文献1)。また、白米を玄米に置き換えるだけで、ビタミンB1含有量は8倍になります(文献1)。
著者の視点: 「夏は豚しゃぶ」というのは、栄養学的にも非常に理にかなった食べ方です。豚肉のビタミンB1×薬味のネギやにんにくのアリシンの組み合わせは吸収効率が高く、夏の体を内側から支えてくれます。食欲がないときでも、汁ものに豚肉を加える一手間が大きな差を生みます。
▶️薬味たっぷりの豚しゃぶは、食事の準備としても手軽なので我が家でも登場率高いです。タレやドレッシングを変えることで飽きないようにしています。



3. たんぱく質が慢性的に不足している
たんぱく質は筋肉・内臓・皮膚・免疫物質など体のあらゆる部位を構成する基本成分です。不足すると体内のたんぱく質が分解されて筋肉量が落ち、体力が低下します(文献1)。
労作性熱中症(運動や作業中に起こる熱中症)に関する栄養学的レビューでは、低エネルギー可用性—つまりエネルギーやたんぱく質の慢性的な不足—が熱中症の発症を促進する可能性が指摘されています(文献3)。体の基礎が整っていない状態では、暑さへの耐性も下がります。
毎食に肉・魚・大豆製品・乳製品などのたんぱく質源を取り入れることを意識してください。ビタミンB6と一緒に摂るとたんぱく質の代謝がさらに促進されます(文献1)。
暑さで食欲がなく、食事だけでたんぱく質を確保しにくいという方には、ゼリータイプの栄養補助食品が特におすすめです。私自身、朝食の食欲が出ないときや、勤務の合間に食事時間が取れないときに愛用しており、わが家では常備しています。子どもでも食べやすいのも助かっています。


著者の視点: 「夏になると体が細る」という感覚がある方は要注意です。食欲低下でたんぱく質が減り、筋肉が落ちる。筋肉が落ちると体力がさらに下がる。この悪循環が暑さへの耐性を奪っていきます。夏こそ意識してたんぱく質を摂ってほしいと思います。
4. アルコールを多く飲む習慣がある
「夏のビールは格別」という方は要注意です。労作性熱中症に関する国際的なレビューでは、アルコールが腸管透過性を高め、利尿を誘発する可能性があるとされており、運動や作業の前の飲酒は避けるべきと示されています(文献3)。
なお、若い健康な男性を対象とした8研究・合計93名のスコーピングレビューでは、平均アルコール摂取量0.68 g/kgという中程度の用量では短時間の熱ストレスに対する生理的反応を必ずしも悪化させないという結果も報告されています。ただし対象は若健康男性のみであり、高齢者・女性・持病のある方には当てはまらない可能性があります(文献4)。
著者の視点: アルコールを楽しむこと自体を否定する必要はありません。ただし、飲んだ翌朝は体内が水分不足になりやすい状態です。暑い日に外出する前には、コップ1〜2杯の水かみそ汁を必ず補給する習慣をつけてください。
5. 偏食が続き、ミネラルと抗酸化物質が不足している
夏の発汗では、水分とともにナトリウム・カリウム・マグネシウム・カルシウムといったミネラルも失われます。これらが不足すると筋肉のけいれん・倦怠感・頭痛といった熱中症の症状につながります(文献1)。
また、夏の強い紫外線にさらされた体内では活性酸素が多量に発生します。これに対抗するのがビタミンA・C・Eやフィトケミカルといった抗酸化物質です。偏食でこれらが慢性的に不足していると、体のダメージ回復が追いつかず、疲れが蓄積していきます(文献1)。
色とりどりの野菜(緑・黄・赤・紫)を取り入れる食卓が、抗酸化物質の自然な摂取につながります。フィトケミカルは加熱して煮汁ごと摂れるスープやみそ汁が特に効果的な摂取方法です(文献1)。
著者の視点: 栄養が足りているかどうかは、食卓の彩りで確認するのが一番シンプルだと思います。同じ色の食材ばかり並んでいる食卓は、偏食のサインです。旬の夏野菜は彩りが豊かです。積極的に取り入れましょう。
まとめ:食生活で「熱中症に強い体」をつくる
夏の熱中症対策は、暑さのピーク時だけ気をつければよいものではありません。日ごろの食生活の積み重ねが、体の耐熱性を左右します。次の5点を今日から意識してみてください。
- 朝食を食べる習慣をつける(脳・体のエネルギーを確保)
- ビタミンB1を意識して摂る(豚肉・うなぎ・玄米)
- たんぱく質を毎食確保する(筋肉・体力の土台をつくる)
- アルコールを飲んだら必ず水分補給をセットにする
- カラフルな食事でミネラルと抗酸化物質を補う
食事は「習慣」です。一度にすべて変えようとするより、一つひとつ小さく積み重ねていくほうが長続きします。
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【使用文献】
- 小川昭子(管理栄養士)「熱中症を予防する食事の摂り方」環境省熱中症予防シンポジウム資料 2018
https://www.wbgt.env.go.jp/pdf/sympo/20180603_4.pdf
- Tanaka M, Mizuno K, Fukuda S, Shigihara Y, Watanabe Y. “Relationships between dietary habits and the prevalence of fatigue in medical students.” Nutrition. 2008;24(10):985-989. PMID: 18562170

- Lee JKW, Tan B, Ogden HB, Chapman S, Sawka MN. “Exertional heat stroke: nutritional considerations.” Experimental Physiology. 2022;107(10):1122-1135.
- Morris NB, Ravanelli N, Chaseling GK. “The effect of alcohol consumption on human physiological and perceptual responses to heat stress: a systematic scoping review.” Environmental Health. 2024;23:73.



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