緑茶のカテキン量は1杯何mg?血管年齢の改善に必要な摂取量を保健学博士が解説

食事・栄養

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緑茶を飲むと「血管が若返る」「動脈硬化予防になる」といった話を耳にすることがあります。その鍵を握る成分が「カテキン」です。

しかし、実際に緑茶1杯にはどのくらいのカテキンが含まれているのでしょうか。そして、健康効果を調べた臨床試験では、どのくらいの量が使われてきたのでしょうか。

この記事では、査読を受けた研究をもとに、緑茶のカテキン量と血管年齢の関係について整理します。

緑茶1杯に含まれるカテキン量はどれくらい?

緑茶に含まれる主なカテキンは、エピガロカテキンガレート(EGCG)、エピガロカテキン(EGC)、エピカテキンガレート(ECG)、エピカテキン(EC)の4種類で、このうちEGCGが全体の半分以上を占めるとされています。

薬物動態に関するレビュー論文(Williamson et al., 2011)では、健康なヒトを対象とした複数の薬物動態研究のデータを統合した結果として、「緑茶1杯(200mL)あたりEGCG約112mg、EGC約51mg、EC約15mg」という推定値が報告されています[6]。なお、この論文ではECGについては推定値が示されておらず、上記3成分の合計で緑茶1杯あたりの主要カテキン総量はおおよそ170~180mg程度になる計算です。

ただし、この推定値はあくまでも複数研究の加重平均に基づくものであり、実際の含有量は茶葉の品質・産地・抽出温度・抽出時間・茶葉の量によって大きく変動します。また、ある消費生活センターが実施した商品テストの報告(査読を受けた学術論文ではなく、行政機関による商品テスト結果)によれば、市販のペットボトル緑茶を調べたところ、一般的な製品のカテキン含有量は100mLあたり30~40mg程度にとどまり、特定保健用食品(トクホ)や機能性表示食品として「カテキン量」を強調した製品では100mLあたり80mg以上となっているものもあったとされています[8]。つまり、急須で淹れた緑茶とペットボトル緑茶では、同じ「1杯」でもカテキン量が数倍異なる可能性があるということです。

著者の視点「緑茶1杯=カテキン何mg」という数字は、実はかなり幅があります。濃いめに淹れる方、薄めに淹れる方、ペットボトルで済ませる方など、同じ「1杯」でも飲み方は人それぞれではないでしょうか。この記事では、複数の薬物動態研究のデータを統合した推定値として報告されている「1杯(200mL)あたり主要カテキン総量約170~180mg」を目安として使っていきます。実際にはこれより多い場合も少ない場合もある、という前提で読み進めていただければと思います。

カテキンと血管(動脈硬化・血管年齢)の関係でわかっていること

血管の老化、すなわち動脈硬化は、血管の壁が硬く・厚くなっていく変化です。この進行には、酸化ストレス、炎症、血管内皮機能の低下などが関わっていると考えられています。

カテキン、特にEGCGについては、抗酸化作用によって活性酸素を消去する働きや、血管内皮細胞でのNO(一酸化窒素)産生を促す働き、炎症反応や血管平滑筋細胞の増殖を抑える働きなどが、基礎研究のレビューで報告されています[7]。これらは血管の柔軟性を保つ方向に働く可能性があるメカニズムとして紹介されています。

ヒトを対象とした研究としては、2014年に欧州の学術誌に掲載されたメタアナリシス(複数のランダム化比較試験を統合した解析)があります[1]。この解析では、緑茶・緑茶カテキンの摂取によって、対照群と比較して収縮期血圧が平均-2.08mmHg、拡張期血圧が平均-1.71mmHgそれぞれ低下したと報告されており、特にもともとの収縮期血圧が130mmHg以上だった人で効果が大きい傾向があったとされています。同じ解析では、総コレステロールやLDLコレステロールの改善についても報告されています。

✍️ 著者の視点血圧やLDLコレステロールは、動脈硬化を進める「危険因子」であり、これらが改善することは血管にとって望ましい方向です。ただし、ここで注意したいのは、「血圧やコレステロールが少し改善する」ことと、「血管そのものの硬さ(血管年齢の指標)が改善する」ことは、必ずしも同じ意味ではないという点です。次のセクションで、この違いについて詳しく見ていきます。

臨床試験で使われた摂取量と、緑茶1杯との大きなギャップ

ここからが、この記事の核心部分です。

血圧やコレステロールの改善が報告されている研究では、実際にどのくらいのカテキンが使われていたのでしょうか。

代表的なものとして、2007年に米国の学術誌に発表されたランダム化比較試験では、内臓脂肪型肥満のある日本人男女240名を対象に、高カテキン飲料(カテキン583mg/日)と低カテキン飲料(カテキン96mg/日)を12週間摂取してもらい比較したところ、高カテキン群で体脂肪・収縮期血圧・LDLコレステロールなどに改善がみられたと報告されています[2]。

また、2020年に発表された別のメタアナリシスでは、各研究で使われていたカテキン摂取量を「高用量(1日615mg以上)」「低用量(1日615mg未満)」に分けて分析が行われており[3]、ヒトを対象とした介入研究では1日あたり500~600mg程度のカテキンが一つの目安として使われていることがうかがえます。

ここで、先ほどの「緑茶1杯あたり主要カテキン総量約170~180mg」という目安に当てはめてみましょう。

比較対象カテキン量緑茶1杯(約170mg)換算
緑茶1杯(200mL、目安)約170~180mg1杯
血圧改善などが報告された介入研究1日 約580~620mg程度約3~4杯/日
体脂肪・脂質関連の研究で「高用量」とされた目安1日 615mg以上約4杯/日以上

つまり、研究で効果が報告されている摂取量は、「緑茶を1杯飲む」というレベルではなく、「1日に何杯もまとまった量を、数週間~数か月にわたって続けて飲む」というレベルだということがわかります。

【カテキン量を意識したい方へ】 急須で淹れた緑茶のほか、カテキン量が明記されている機能性表示食品やトクホ飲料を活用すると、1日の摂取量を把握しやすくなります。

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✍️ 著者の視点「緑茶を飲むと血管に良い」という話を聞いて、1日1杯だけ緑茶を飲むようにしても、研究で報告されているような変化が出るとは限らない――これが、カテキンの量を具体的に見たときに浮かび上がってくる現実です。これは以前、緑茶のテアニンとリラックス効果について解説した記事でも触れた「研究で使われた量」と「実際に飲む量」のギャップと、構造としては似ています。

「血管年齢」そのものを指標にした研究はあるのか

血圧やコレステロールの改善が報告されている一方で、「血管年齢」という言葉でイメージされやすい指標――脈波伝播速度(PWV)や心臓足首血管指数(CAVI)など、血管の硬さそのものを直接測る指標――について、緑茶カテキンの影響を調べた研究はどうなっているのでしょうか。

日本の研究者によって行われ、スポーツ医学系の学術誌に掲載されたランダム化比較試験では、健康な大学生53名を対象に、水(カテキン0mg/日)、カテキン200mg/日、カテキン400mg/日のいずれかを4週間摂取してもらい、体脂肪・PWV・CAVIなどを比較しています[4]。その結果、4週間の摂取期間では、いずれの群においてもPWVおよびCAVIに統計学的に有意な変化はみられなかったと報告されています。一方で、カテキン400mg/日の群では体脂肪の減少がみられたとされています。

先ほどの換算で言えば、カテキン400mg/日は緑茶およそ2~3杯/日に相当する量です。それだけの量を1か月続けても、健康な若い世代では「血管年齢」の指標そのものには変化が見られなかった、ということになります。

緑茶の摂取習慣とCAVIとの関連を調べた横断研究もあります。閉経前後の日本人女性を対象とした研究では、緑茶とコーヒーを両方とも1日1杯以上飲む習慣のあるグループにおいて、CAVIが高い(動脈硬化が進んでいる可能性が高い)人の割合が低い傾向と関連していたと報告されています[5]。

ただし、この研究で「緑茶単独」の摂取習慣とCAVIとの間には、統計学的に明確な関連は確認されませんでした。CAVIとの関連がみられたのは緑茶とコーヒーを両方飲む習慣があるグループのみであり、緑茶単独の効果なのか、コーヒーとの組み合わせによる効果なのかは、この研究だけでは判別できません。なお、緑茶単独の摂取については、体脂肪率が高い人の割合が低い傾向との関連が報告されています[5]。

✍️ 著者の視点「血管年齢」の指標であるCAVIを直接調べた研究を見ても、緑茶単独での明確な関連を示すデータは、現時点では見つけにくいというのが実情です。短期間の介入研究ではPWV・CAVIに変化がみられず、横断研究でもCAVIとの関連は緑茶単独では確認されていません。一方で、緑茶の摂取が体脂肪率など、血管年齢に間接的に関わる要因と関連していることを示す報告は複数あります。現時点では、「緑茶が血管年齢という指標そのものを下げる」と主張するための直接的な根拠は十分ではなく、「動脈硬化の危険因子の一部を改善する可能性がある」という、もう一段階手前の段階のエビデンスとして理解しておくのが適切だと考えています。

何杯飲めばいいのか――著者としての考え方

ここまでの内容を踏まえると、「血管年齢を改善するために緑茶を1日◯杯飲みましょう」と具体的な数字で断定することは、現時点のエビデンスからは難しいというのが正直なところです。

その一方で、いくつかの研究では、緑茶やカテキンの習慣的な摂取が血圧やコレステロールといった動脈硬化の危険因子の改善と関連する可能性が報告されていることも事実です。

これらを踏まえて、私が一つの考え方として整理しているのは次のような内容です。

  • 緑茶1杯あたりの主要カテキン総量は約170~180mg程度と推定されており、研究で扱われている量(1日500mg以上)に届くには、目安として3~4杯程度を毎日続けて飲む必要がありそうだということ
  • ただし、これだけ飲んだとしても「血管年齢」の数値そのものが改善するという直接的な証拠は、現時点では限られていること
  • 緑茶を習慣的に楽しむこと自体は、糖分の多い飲料の代わりとして選ぶなど、生活習慣全体を見直すきっかけの一つとしては悪くない選択肢であること
  • カフェインに敏感な方や、就寝前の摂取、空腹時のまとめ飲みなどは、別の不調(不眠・胃への負担など)につながる可能性があるため、量や時間帯への配慮が必要であること
  • 高用量のカテキン抽出物(サプリメントなど)については、肝機能への影響が報告されている例もあるため、食品としての緑茶とは分けて考える必要があること

【製品選びの参考に】 この記事で紹介した研究で使われたカテキン量(1日500mg以上)を食事から摂取するには、カテキン量が明記されている製品を選ぶと管理しやすくなります。なお、サプリメントを選ぶ場合は1日摂取量の目安を必ず確認してください。

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✍️ 著者の視点 動脈硬化予防の現場で関わってきた立場から言えるのは、「緑茶を◯杯飲めば血管年齢が改善する」という単純な話よりも、食事全体の塩分・脂質のバランス、運動習慣、禁煙、睡眠といった要素のほうが、血管の健康にとってはるかに大きな影響を持つということです。緑茶の実践的な取り入れ方としても、「1日に何杯飲むか」を意識するより、「これまで飲んでいた糖分の多い飲み物の一部を緑茶に置き換える」という小さな習慣の方が、無理なく続けやすく、結果的に血管の健康に関わる複数の要因に対してプラスに働く可能性があります。緑茶のカテキンは、そうした生活習慣全体の「一部」として位置づけるのが、現時点では現実的なとらえ方だと考えています。

まとめ

緑茶1杯に含まれる主要カテキンの総量は、複数の薬物動態研究の統合推定値として約170~180mg程度と報告されています。一方で、血圧やコレステロールの改善が報告されている臨床試験では、1日500~620mg程度、緑茶換算でおよそ3~4杯程度に相当する量が用いられている例が多くみられます。

また、PWVやCAVIといった「血管年齢」そのものを表す指標を直接調べた研究は限られています。短期間(4週間)の介入研究では、緑茶2~3杯相当のカテキンを摂取しても有意な変化が確認されなかったとの報告があり、横断研究でも、緑茶単独の摂取とCAVIとの間に明確な関連は確認されていません(緑茶とコーヒーを両方飲む習慣がある場合に限り、関連が報告されています)。「緑茶を飲めば血管年齢が改善する」と単純に言い切るには、まだ研究の蓄積が十分とは言えない段階にあります。

緑茶を楽しむこと自体は、健康的な生活習慣の一部として取り入れやすい選択肢ですが、血管の健康については、食事・運動・禁煙といった生活習慣全体とあわせて考えることが大切です。

医療に関する注意事項

この記事は、公表されている研究をもとに一般的な情報を整理したものであり、特定の食品・成分の効果を保証するものではありません。記事内で紹介した研究結果は、研究対象者の特性や試験条件によって異なる可能性があり、すべての方に同様の結果が得られるとは限りません。

持病がある方、薬を服用中の方、妊娠中・授乳中の方などが食習慣を大きく変える場合は、自己判断で行わず、医師や薬剤師、管理栄養士などの専門家にご相談ください。血管や血圧、コレステロールなどに関して気になる症状がある場合は、医療機関を受診することをおすすめします。

あわせて読みたい

引用文献

  1. Khalesi S, Sun J, Buys N, Jamshidi A, Nikbakht-Nasrabadi E, Khosravi-Boroujeni H. Green tea catechins and blood pressure: a systematic review and meta-analysis of randomised controlled trials. European Journal of Nutrition. 2014;53(6):1299-1311.
  2. Nagao T, Hase T, Tokimitsu I. A green tea extract high in catechins reduces body fat and cardiovascular risks in humans. Obesity (Silver Spring). 2007;15(6):1473-1483.
  3. Xu R, Yang K, Ding J, Chen G. Effect of green tea supplementation on blood pressure: A systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials. Medicine (Baltimore). 2020;99(6):e19047.
  4. Kobayashi S, Nanayama C, Ogawa N, Matsumoto N, Nishiwaki M. Effects of regular green tea intake on body fat and arterial stiffness in young adults: A randomized intervention study. Japanese Journal of Physical Fitness and Sports Medicine. 2020;69(3):249-259.
  5. Yonekura Y, Terauchi M, Hirose A, Odai T, Kato K, Miyasaka N. Daily Coffee and Green Tea Consumption Is Inversely Associated with Body Mass Index, Body Fat Percentage, and Cardio-Ankle Vascular Index in Middle-Aged Japanese Women: A Cross-Sectional Study. Nutrients. 2020;12(5):1370.
  6. Williamson G, Dionisi F, Renouf M. Flavanols from green tea and phenolic acids from coffee: Critical quantitative evaluation of the pharmacokinetic data in humans after consumption of single doses of beverages. Molecular Nutrition & Food Research. 2011;55(6):864-873.
  7. Babu PV, Liu D. Green Tea Catechins and Cardiovascular Health: An Update. Current Medicinal Chemistry. 2008;15(18):1840-1850.
  8. 消費生活センターによる商品テスト報告(市販ペットボトル緑茶のカテキン含有量に関する調査結果)

瀬戸 茉莉花

看護師として大学病院・公立病院で臨床を経験後、現在も大学教員として17年間、看護学生の教育と生活習慣病予防の研究に携わっています。看護師・保健師。保健学博士。2児の母として、子育てをしながら情報発信中。
人の幸せの根底には、健康があると思っています。健康だからこそ、大切な人と楽しい時間を少しでも多く過ごせる。そのために健康オタク仲間を増やして、みんなで人生の最後まで元気でいたい。そんな思いでこのブログを書いています

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